プレーオフ進出が決定「すべてを出しきりたい」
ペリカンズはレギュラーシーズン最終戦とプレーイン・トーナメント初戦でレイカーズに2度敗れたが、プレーイン2戦目でキングスに勝ったことでプレーオフ進出を決めた。
「シーズン最初に立てた目標だから、達成できて良かった」とブランドン・イングラムは安堵し、ラリー・ナンスJr.は「僕らはレギュラーシーズンで49勝したんだ。プレーオフを戦う価値がある」と自信を取り戻した。
プレーイン初戦はケガ明けのイングラムの調子が上がらず、終盤の勝負どころでベンチに下げられることに。それで負荷の増したザイオン・ウイリアムソンが40得点でオフェンスを牽引したものの、彼の身体はエンジン全開のプレーに耐えられず、ラスト3分でハムストリングを痛めて戦線離脱。そしてペリカンズはレイカーズに逃げ切られた。
キングス戦の第1クォーターは6つのターンオーバーから11失点を喫し、かならずしも調子が良かったわけではない。それでもザイオン不在で得点面でより期待のかかるイングラムも、ザイオンに代わって先発したトレイ・マーフィー三世も、個人の力で何とかしようとするのではなくチームプレーを意識した。そこでチームの強みであるベンチの層の厚さが生きる。ラリー・ナンスJr.とホセ・アルバラードは先のレイカーズ戦に続いて攻守にエネルギーを注入し、前回はプレータイムのなかったナジ・マーシャルも第2クォーターだけで9得点4リバウンドと攻守にフル回転し、序盤の劣勢を覆してチームにリードをもたらした。
キングスはケビン・ハーターとマリーク・モンクをケガで欠き、ベンチの層はどうしても弱くなる。レギュラーシーズンよりも攻守にプレー強度が増す中で、スピードと運動量で戦うキングスはフィジカルで削られ、ベンチメンバーも含めて常にエネルギー全開のペリカンズに押される形となった。そして前の試合で大活躍した若い2人、キーガン・マレーとキーオン・エリスが大ブレーキに。若手がリズムに乗れない時にセカンドユニットが立て直すこともできなかった。
「気分は良いよ。僕たちはチャンスがある限り決してあきらめない。そのチャンスをモノにしたんだ」とイングラムは言う。プレーイン初戦でのイングラムはケガ明けで調子が悪く、リズムをつかもうと相手ディフェンスに強引に仕掛け続けることでチームのリズムを悪くした。そのおかげで勝負どころでベンチに下げられている。
この試合はそのリベンジとなった。24得点6リバウンド6アシストというスタッツ以上に、イングラムがゲームを支配した印象が強い。ただ、自分で無理に打開するのではなく、ゲームコントロールに意識を置いてチームの良さを引き出した。前回とは真逆のパフォーマンスでチームに勝利をもたらした。
「今シーズンは終盤までケガなくやってこれたのに、最後にケガをしてしまった。3週間、チームの戦いを見ているだけなのはつらくて、自分のやるべきことに集中するのも難しかった。膝の痛みはまだあったけど問題ないと自分に言い聞かせて、復帰から2試合は上手くいかなかったけど、今日はそこに引っ張られずにベストを尽くそうとした」
なかなか上がらなかったパフォーマンスがここに来て劇的に改善した理由をイングラムは「チームメートを信じ、自分を信じたことだと思う。勝利のためにはそれが必要だった」と語る。
イングラムはNBAで8シーズン目を迎えているが、プレーオフ出場は2021-22シーズンの一度だけ。それだけに今回はこの舞台でアピールしたいという気持ちが強い。「この舞台で自分のすべてを出しきりたい。心と身体を良い状態に保ち、規律を守って自分らしいプレーをしたい。そしてもちろん、チームの勝利のためなら何だってするつもりだ」
プレーオフでは第1シードのサンダーと対戦する。ザイオンは早ければこのシリーズ中に復帰できる見込み。苦戦が予想されるものの、イングラムもペリカンズもベストを尽くして戦うつもりだ。