オビ・トッピン&ジョナサン・アイザック

ブランソンを擁するニックスは補強も効いて2位へ

開幕から30試合ほどが経過した12月末の段階で、東カンファレンスの上位にはセルティックス、バックス、セブンティシクサーズ、ヒートと例年通りの顔ぶれが並んでおり、戦力変動が激しい西カンファレンスに比べて競争力に乏しい印象は否めませんでした。

しかし、年が明けるとトレードでOG・アヌノビーを獲得したニックスが猛烈な勢いで追い上げを開始。ケガ人続出による停滞はあったものの、得点ランクで4位となったジェイレン・ブランソンのスペシャルな個人技と、フィジカルなディフェンスで2位へと食い込み、長年続いてきた勢力図を大きく動かしました。

同じく1月に絶好調だったキャバリアーズは、ケガ人が戻ってフルメンバーが揃ったシーズン終盤に失速して4位に終わりました。主力に頼りきりだった昨シーズンの反省からロールプレイヤーを充実させた今シーズンでしたが、スターター5人が揃った試合が28試合しかなく、今度は主力の連携に問題が生じたのです。若いチームが成長して首位争いすることも期待されましたが、チーム作りの難しさばかりが目立ちました。

昨シーズンは11位と14位だったペイサーズとマジックが、揃ってプレーオフへと進んだことは大きな事件でした。タイリース・ハリバートンはアシスト王に輝き、パオロ・バンケロはオールスターに選ばれ、それぞれ個人としてもチームとしても飛躍のシーズンとなりました。ただし、両チームのカラーは対照的で、オフェンスのペイサーズ、ディフェンスのマジックとそれぞれ極端なチームカラーで成功を収めています。

ディフェンスレーティングでリーグ3位のマジックは、ジェイレン・サッグス、ギャリー・ハリス、マーケル・フルツとディフェンス力の高いガード陣に、すべてを止めるジョナサン・アイザックがベンチから登場するなど、分厚く並んだディフェンダーが最大の特徴です。オフェンスはバンケロとフランツ・バグナーの個人技に頼っているものの、ディフェンス力で勝てるチームになりました。

オフェンスレーティングでリーグ2位のペイサーズは、ハリバートン、TJ・マッコネル、アンドリュー・ネムハードの3人で20.5アシストを記録しており、華麗なるパスワークからイージーシュートを生み出し続けました。フィールドゴール成功率はリーグで唯一50%を超え、平均9点以上の選手が9人いるというスーパーバランスアタックを実現しています。若き2チームがプレーオフでも暴れてくれるのか、非常に楽しみです。

リーグ最高勝率のセルティックスは積極的にトレードに動いたオフの補強が功を奏し、他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せて常に首位に立ち続けました。そのセルティックスに続く2位の座をキープし続けていたバックスでしたが、デイミアン・リラード獲得でオフェンスで打ち勝つチームを目指したはずですが、守れないことへの不満から突如としてヘッドコーチ交代に踏み切る迷走を見せ、最終的には2位の座からも滑り落ちました。

シクサーズはジェームズ・ハーデンのトレード騒動に揺れながらも順調なシーズン前半を過ごしましたが、ジョエル・エンビードのケガによって一気に転落し、まさかのプレーイン・トーナメントとなりました。エンビードが試合に出れば31勝8敗と高勝率を残しているだけにプレーオフでは元のシクサーズに戻れそうですが、そもそもプレーオフで勝てないからこそチーム改革に踏み切ったわけで、真価が問われるのはこれからです。

そしてヒートは4年間で2回のファイナル進出した主力を残しながら、またもプレーインからのスタートになりました。ニコラ・ヨビッチやハイメ・ハケスJr.の台頭があったとはいえ、チーム力の積み上げができたのか疑わしいシーズンでした。いずれにしても若いチームの後塵を拝したことに違いはなく、大きな波に飲み込まれたシーズンでした。

上位の顔ぶれに変化のなかった東カンファレンスに大きな変化が訪れたシーズン。ただし、2位と8位でも4勝しか差がないように、セルティックス以外は実力に差がなく、確固たる強さを持ったチームが少ないのが現状です。若手チームにはプレーオフでも勝利を挙げて、時代の変化を明確に示してほしいところです。