ブラッドリー・ビール

強敵続きのラスト10試合で7勝、チームに自信

今シーズンは例年以上に混戦模様で、レギュラーシーズン最終戦でも『大きな何か』を懸けた試合がいくつもあった。その中でも最大のものはティンバーウルブズvsサンズだろう。ウルブズは勝てばシーズン2位で、他会場の結果によっては1位もあった。サンズは勝てば6位でプレーオフに行けるが、負ければプレーイン・トーナメントに回る状況だった。

その試合は予想外にも一方的な展開となった。サンズが第1クォーターを44-22と圧倒し、大量リードを維持したまま勝利を手にした。第1クォーターで16得点とチームを強力に牽引したブラッドリー・ビールが試合を通じて36得点、デビン・ブッカーの23得点にグレイソン・アレンの20得点、ケビン・デュラントの15得点を記録した。

ウルブズは2つ前の試合でナゲッツとの首位攻防戦に敗れ、この試合を落としたことで西カンファレンスの3位でフィニッシュ。「プレーのスピード、判断のスピードで我々の方が遅かった」と指揮官クリス・フィンチは言う。問題はこの試合だけでは終わらない。両チームはプレーオフのファーストラウンドで激突することになる。レギュラーシーズンでの直接対決はサンズが3戦全勝だ。アンソニー・エドワーズは言う。「でも、順位が上なのはウチだ」

それでも、半月板断裂のケガを負って手術したカール・アンソニー・タウンズはプレーオフに間に合った。復帰2試合目となったこの試合では10得点6リバウンドを記録。まだ本調子ではないが、プレーできていること自体が彼にとってはポジティブな出来事で、チームの苦境にも動じない。「レギュラーシーズンで最も苦手としたチームとの対戦で良いじゃないか」とタウンズ。「僕らはプレーオフを勝ち上がり、優勝するつもりなんだ。だから厳しい相手を避けようとは思わない。精神力も規律も問われるけど、優勝するには避けて通れないよ」

もっとも、サンズこそ長いレギュラーシーズンを通して苦労の連続を味わったチームだ。『ビッグ3』が揃わず、揃っても噛み合わず、スターパワーではライバルを上回っているのに勝てないことで批判されることも多かった。それでもレギュラーシーズンの最後はクリッパーズ、キングス、ウルブズと強敵相手に3連勝。シーズン序盤はデュラントが攻守にフル回転しても勝てなかったが、ここ数試合はデュラントが脇役に回っても勝てる力強さがある。

指揮官フランク・ボーゲルは「ウチには1つのクォーターで44得点を奪う破壊力がある。しかし、今日はディフェンスが良かった。攻守が上手く噛み合った。我々がベストを尽くした時には、こういうパフォーマンスができる」と語る。

「プレーインを恐れるわけじゃないが、一発勝負ではシュートが入らない日だったり、ケガがあったりですべてが決まる可能性がある。それは避けたかった。ウチのラスト10試合はすべてトップ6が相手で、そこで7勝を挙げて6位になれたのは満足だよ。高いレベルの勝負に身を置いたことで集中が研ぎ澄まされ、ポテンシャルを最大限に発揮することができた。今日はその集大成だったと思う」

ブラッドリー・ビールはこのところ絶好調だ。ケガによる離脱が相次ぎ、プレーしていてもなかなかリズムに乗れなかった時期を脱却し、この1週間は平均26.8得点を記録している。ウィザーズ時代には当たり前のようにこれぐらいの数字を残していたが、サンズではプレーをシェアしておりシュートを打つ本数が減っているにもかかわらず、効率の良いプレーができるようになっている。

「確かに僕らは良いプレーができている」とビールは言う。「まだベストがどうかは分からないけど、良いタイミングで調子を取り戻していると思う」