ルカ・ドンチッチ

「ゲームを学び、理解し、成熟している」

ロケッツの11連勝を止めたのは、6位争いのライバルであるキングスに連勝して勢いに乗るマーベリックスだった。ルカ・ドンチッチが第1クォーターに22得点、これで勢いに乗ったマブスは第1クォーターを36-24と圧倒し、ハーフタイムにはリードを21得点へと広げた。

ドンチッチは第3クォーターも12分フル出場して15得点を挙げ、第3クォーター終了時点で得点を47まで伸ばした。最終クォーターは5分半の出場で、リードを守ることに専念して無理に攻めることなく無得点に終わったが、それでも試合を通じてフィールドゴール30本中18本成功、3ポイントシュートは16本中9本を成功させ、さらに12リバウンド7アシストの大活躍だった。

ロケッツは力強いディフェンスからのトランジションでリズムに乗るチームだが、激しく当たってもドンチッチからボールを奪うことができず、シュートが落ちないためトランジションの展開を作れない。力強いドライブを止められず、ディフェンスがぴたりと貼り付いてもステップバックからの3ポイントシュートを確率良く決められた。

挙句の果てには、ジャバリ・スミスJr.が足を使ってしつこく食い下がっているにもかかわらず、右腕一本のスクープショットを3ポイントラインのすぐ内側から決められている。現役時代はNBA史に名を残すポイントガードだった指揮官ジェイソン・キッドも、このフローターには脱帽。「あのシュートは普通じゃない。ルカはパブロ・ピカソみたいなもの。絵筆を与えれば特別な何かを描き出す」とコメントした。

そしてドンチッチは、どんな発想からあのシュートが生まれたかを質問されて「分からない。何となく決まる気がしたんだ」と語り、こう続けた。「昔、バーテンの真似事をしたことがあるから、そのおかげで決まったのかも」

ロケッツ守備陣はドンチッチを止めるべくあらゆる手段を尽くしたが、どうやっても止められなかった。連勝は11でストップし、10位を争うライバルのウォリアーズとのゲーム差は2に広がった。タイブレーカーは相手が持っているため、ロケッツが上に行くには実質3ゲームをひっくり返す必要がある。

そしてマブスは、レギュラーシーズンが佳境を迎えたこの時期、直近の12試合で11勝と絶好調。今はアウェー5連戦の4試合目を終えたところだが、一番厳しい時期を乗り越えつつある。言うまでもなく、この大事な時期にドンチッチがエースとして十分すぎるほどのパフォーマンスを見せていることが、チーム好調の最大の要因となっている。

「大事なのは成熟だ」とドンチッチは言う。「僕はもうこのリーグに6年いるから、ゲームを学び、理解し、成熟している。今シーズンはすべてにおいて良くなっていると思う」

3月は14試合に出場し、31.4得点、10.0リバウンド、10.3アシストの『平均トリプル・ダブル』を記録。シーズンを通じて得点は2月以前よりわずかに落ちているが、総合的なチームへの貢献度はどの時期よりも高い、このところの素晴らしいパフォーマンスにより、彼の名はシーズンMVP候補に挙がるようになっている。

しかし、自分のパフォーマンスがMVPに相応しいかと問われたドンチッチは興味がなさそうにこう答えた。「それは君たちが答える質問だ。僕は投票しないからね」