中嶋基喜

「日本のトップコーチたちに学んだことが土台」

U12女子の強豪チーム、壱岐リトルソニックス(福岡)は中嶋基喜コーチの指導の下、3月28日に開幕する『マクドナルド全国ミニバスケットボール大会』に出場する。チームは「世界一」を目標に掲げて活動し、昨年度は1年間無敗、今年度もここまで無敗で大会に臨む。前編では全国有数の強豪に育てた中嶋コーチに指導や教育のモットーを聞いた。

――自己紹介とミニバスケットの指導を始めたきっかけを教えてください。

壱岐リトルソニックスのヘッドコーチ、中嶋基喜です。ミニバスケットの指導は、長女が小学2年生でリトルソニックスに入部したのがきっかけです。当初は指導者もいたのですが、いつ廃部になってもおかしくない環境でした。その後、指導者もいなくなり、廃部の話が具体化した時に、アシスタントコーチになりました。

数年間はヘッドコーチがいてくださったのですが、再びいなくなりました。子供がバスケットを続ける環境を作りたくて、ヘッドコーチを引き受けました。長女はその後、二島中学校で山崎修先生(現四日市メリノール学院中学校男子監督)にお世話になり、3年時にキャプテンを任されました。娘の応援に集中できるように飲食店から日中に勤務する会社に転職すると、子供たちを指導できる時間が増えました。バスケを勉強して、いろんなことを教えたくなりました。

――ミニバスを見ていたところで、中学女子の指導を打診されたそうですね。

はい、長女が卒業した翌年、山崎先生が二島中からメリノール学院中に移る2019年です。新人戦が終わったころ、先生から『半年間、二島中を見てくれないか』と打診され、引き受けました。4月から8月の全中までの5カ月間でした。この経験がなければ、今の僕はありません。山崎先生の後任ということで、メリノール学院中女子の稲垣愛コーチをはじめ、全国各地の先生から声を掛けていただきました。日本女子代表の恩塚亨コーチ(当時アシスタントコーチ)には何度か二島中に足を運んでいただいて、指導法を教わりました。就任前は九州新人大会でベスト4だった二島中が、九州大会で優勝、全中はベスト16になりました。

――中学校の指導を続ける選択肢はなかったのですか。

中学指導のお話も頂きましたが、その選択肢はまったくなかったです。バスケットカテゴリーでミニバスは原点でもあり1番大切な時期だと考えています。当時、チームは2部でしたので、すぐに戻りました。僕自身の二島中での結果も伝わっていて、チームの意識も驚くほど変わっていました。県大会の5位決定戦で1点差で負けたんですけど、2部だったチームはそこまで勝ち上がるほど成長しました。翌年には県大会で初優勝して、全国ミニに出させていただきました。そこから4年間で3度、福岡県1位になりました。今年の全国ミニでも福岡県代表らしく戦いたいです。

――恩塚コーチをはじめ、国内有数の指導者と出会って学んだことは。

どれだけ人間性を高めていけるかが大事、ということですね。今はSNSにアップされている動画などで練習法やスキルを学べる『教材』はたくさんあります。国内の指導者の方々の多くが本当に高いレベルにあります。私も今まで様々な方の練習を見て学んだのですが、導入したから上手くなるという訳ではありません。やはり環境だと思います!環境をこだわり選んだ中で、どうバスケットに向き合って行くのかは自分次第だと考えています。

バスケットに関してはファンダメンタルで、ミニバスでどこまで土台を教えられるかです。昭和ミニの服部先生やメリノール学院中学女子の稲垣愛コーチからはファンダメンタルの大切さを今でも学んでいます。僕なりに行き着いたのは運動神経を高めて、身のこなしや身体の使い方を身に付ける指導でした。今の子供たちは運動神経が未発達だからですね。その後にボールハンドリングやコーディネーショントレーニングを習慣にして徹底することで結果に繋がっています。