2つのリーグの最終王者が迎えた直接対決だったが……
『2つのリーグの最終王者がついに直接対決!』と銘打たれ、昨シーズンまで袂を分かっていたNBLとbjリーグの最後のチャンピオンによる初対戦が実現した。川崎の北卓也ヘッドコーチは「昨シーズンのbjリーグ王者であり、良い選手が多いのでしっかり準備して臨んだ」と言う。キャプテンの篠山竜青も、「相手の特徴をつかむために何度もビデオを見たし、勝ちたい気持ちが強かった」と入念な準備をしていた。
対する琉球ゴールデンキングスは西地区5位、15勝19敗と負け越していることから王者の風格は感じられず、チャレンジャー精神で挑む対戦となった。
前節の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で左膝関節骨挫傷を負ったライアン・スパングラーを欠き、辻直人も腰の具合が思わしくない。万全ではない川崎だけに、琉球にとっては付け入る隙も十分にあった。それでも序盤からディフェンスで見せ場を作った川崎が、速攻からペースをつかんでいく。
セカンドユニットの藤井佑眞が、第2クォーターだけで8点を挙げ、34-22と川崎が12点リードして前半を終えた。琉球はリバウンドで上回るもフィールドゴール成功率は29.0%と低く、チャンスを生かせない。
第3クォーター開始早々、初先発を任されたルーキーの田代直希、アーリーエントリーで加入した渡辺竜之佑と、若い2人の活躍で反撃開始。しかし開始2分、渡辺が早々に2つのファウルを犯し、個人ファウル4つ目となりベンチに下がると勢いが止まってしまう。高さで勝るニック・ファジーカスの活躍に比例するように、点差が引き離されていく。
琉球はポイントガードを潰すプレッシャーディフェンスでボールを奪うが得点につなげられず、試合を通してシュート率が上がらない。
「ライアンがいない分、がんばらなければいけない」と気合い十分のジュフ磨々道が黙々とリバウンドを拾い、コツコツと得点につなげ、12得点11リバウンドとダブル・ダブルの活躍を見せた。
結果は79-55、24点差をつけたNBL王者の川崎が快勝。制空権を制したニック・ファジーカスは24点を挙げ、Bリーグ通算980点目をマーク。Bリーグ初の1000得点プレーヤー誕生まであと20点、明日には達成しそうだ。
「通用するプレーもあった」と明日のリベンジを誓う琉球
「ライアンがいない分、総力戦になると話していたが、序盤からディフェンスを頑張ってくれた。前半に篠山がアタックしてノーマークを作ったことで良いリズムが生まれた」と勝因を語る北ヘッドコーチ。その篠山は、「もっとアタックしていく姿勢が必要と指摘されていた。日本代表で学んだ2on2のプレーなどを、後半戦はもっともっと出していきたい」と話し、この試合は2点足りなかったが、毎試合10点以上取ることを新たな目標に掲げていた。
敗れた琉球の伊佐勉ヘッドコーチは、「さすがリーグNo.1の実力を誇る川崎」と、この試合は完敗を認めた。しかし、「通用するプレーもあった」と少なからず手応えも感じている。点差は開いたが、シュートまで行けたことをプラスに捉えていた。北ヘッドコーチも、「フィールドゴール成功率が低かったことに助けられた部分もある。明日は確率も上がるだろうから、しっかりディフェンスから入って行きたい」と引き締めていた。
攻撃回数リーグ1位の琉球にとっては、テンポアップしたかったがミスが目立つ試合でもあった。特に期待して先発で送り出した田代と渡辺の若い2人は、気持ちが空回りするようにファウルで自滅してしまっている。
「アグレッシブにディフェンスしていたので、ファウルに関してはもったいない部分もあった。それも明日に向けて良い経験になった。ルーキーでもベテランでも、コートに出ている以上はキングスを代表して戦っていることを分かってほしい」と伊佐ヘッドコーチは話しており、浮上するためにも2人の活躍が必要となる。
試合が決まった終盤ではあったが、岸本隆一が2本の3ポイントシュートを決めた。試合後、「差を見せつけられた負け方だったので、その分、開き直れると僕は思っている」と早くも気持ちを切り替えている。「今日の試合を通して、僕は何もできていない。明日はしっかりプレーしたい」とリベンジを誓った。
幸い、西地区は2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズから5位の琉球までが5ゲーム内でひしめき合う混戦状態。Bリーグ勝率1位の川崎に勝利することで、巻き返すきっかけをつかみたい。明日も旧リーグ王者同士の対戦は、横須賀アリーナにて15時より行われる。
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