選手層の厚さが最後までタフに戦いきるエネルギーに
開幕から14勝5敗と好スタートを切ったマジックは、12月と1月は勝率を落とす苦しい戦いが続いたものの、2月は9勝3敗と盛り返してきました。ここまで34勝26敗で東カンファレンス7位に位置し、プレーオフ進出は現実的な目標になってきました。4位のニックスから8位のペイサーズまでが1.5ゲーム差と大混戦の争いはシーズン終盤まで続きそうなだけに、若いマジックがどこまで食らいつけるのかが注目されます。
オールスターに選出されたパオロ・バンケロと、3年目のフランツ・バグナーが平均20得点を超え、エースとしてチームを牽引していますが、平均111.5得点はリーグ26位と物足りない一方で、失点はリーグ6位とディフェンス力がマジックの売りです。サイズのある選手を揃え、若さ溢れるハッスルプレーを続けることで粘り強く守り切り、勝てるチームへと成長してきました。
ディフェンスとともにマジックの強さを支えているのがベンチメンバーの層の厚さです。スターターは得失点差でプラスを生み出していませんが、ベンチメンバーはリーグ7位の+1.2点と大きなアドバンテージをもたらしています。爆発力のあるコール・アンソニーとインサイドの合わせ役のモリッツ・バグナーが2桁得点を挙げているだけでなく、ベテランのジョー・イングルスが堅実なプレーでチームを落ち着かせ、そしてジョナサン・アイザックのどんな相手でもシャットダウンするディフェンスでリードを作り出せるのが最大の強みです。
毎シーズンのようにケガ人が多いことがマジックの悩みの種で、今シーズンも離脱者が多く浮き沈みもありましたが、結果的には様々な選手がチャンスを得ることに繋がりました。プレータイムが30分を超えているのはバンケロとフランツの2人だけで、プレータイムをシェアすることで試合を通して高いインテンシティを保っていることも、ディフェンスを基盤としたマジックの戦い方に向いています。ジェイレン・サッグスやギャリー・ハリス、マーケル・フルツにアイザックとタイプの異なるディフェンダーが揃っていることで、相手エースを潰しに行くバリエーションも持っています。
肉体的にも精神的にも疲労がたまったシーズン終盤の戦いはチームの総合力が求められます。メンタリティの面では未知数の部分が大きいマジックですが、ベンチの層の厚さは最後までタフに戦いきるエネルギーになりそうです。東カンファレンスはセブンティシクサーズやニックスが失速気味ということもあり、あわよくば上位シードを狙うこともできます。
NBAのサラリーキャップでは4年目まではサラリーが抑えられるため、中心選手が若いと層の厚いロスターを作りやすく、マジックもこのパターンで成功しているシーズンになっています。3年前には同じ形でホークスがカンファレンスファイナルまで進んでおり、オフェンス面や経験値には不安があるものの、ディフェンスの重要性が増し様々なアジャストが求められるプレーオフでの躍進も期待したくなります。セルティックス以外は安定感のない東カンファレンスにおいて、若きマジックは台風の目になるかもしれません。