パティ・ミルズ

10年在籍したスパーズに経験とリーダーシップを

パティ・ミルズは2009年にトレイルブレイザーズでNBAデビューを果たし、3年目に移籍したスパーズで10シーズンを過ごした。2013-14シーズンにはシックスマンとしてチームの優勝に貢献してもいる。2021年オフにネッツに移籍して2シーズンを過ごした後、35歳になった彼はキャリアの難しい時期を迎えた。

昨年オフ、ミルズはネッツからロケッツにトレードされ、その2日後にサンダーへ、その4日後にはホークスへと、1週間で3回トレードされる激動のオフを経て、NBAキャリア15シーズン目を迎えた。しかしホークスではクイン・スナイダーの評価を得られず、58試合中19試合に出場したのみ。プレータイムも得点もルーキーシーズンに次いで低いものとなった。そしてホークスとミルズは契約のバイアウトに合意した。

ホークスは開幕当初こそまずまずのスタートを切ったものの、攻守の要となる3年目のジェイレン・ジョンソンがケガで離脱した12月に失速し、勝率5割を大きく下回ることになった。デジャンテ・マレーを放出して再建するとの噂もあったが、トレードデッドラインでは動かず、現状維持で立て直す方針を打ち出したところで今度はエースのトレイ・ヤングが戦線離脱。現在は26勝33敗だが、ヤングの復帰までにさらに成績が落ち込むことが予想され、プレーオフ進出は厳しくなりつつある。ミルズにとっても、このままチームに残ってもモチベーションを見いだすのは簡単ではなかっただろう。

ミルズは今シーズンの680万ドル(約10億円)の契約がなくなり、次にプレーする場所を選ぶことができる。彼は以前、現役時代の最後はオーストラリアに戻ってプレーしたいとの意向を語っているが、NBLでプレーするのはもう少し先になるだろう。今夏にはパリオリンピックが控えており、ミルズはオーストラリア代表のリーダーとして参加する予定だ。高いレベルの環境に身を置いて、そのための準備をする必要がある。

ホークスでのミルズは出場機会を失っていたが、それでも3ポイントシュート成功率は38.2%と一番の武器は錆び付いていない。シューターとしてのミルズの経験を評価するチームが出てくれば、彼はまたプレーオフを目指して戦うことができる。

それとは別に、3年ぶりにスパーズに復帰する可能性もある。ルーキーのビクター・ウェンバニャマが見せる目覚ましい活躍とは裏腹に、スパーズは11勝48敗で西カンファレンス最下位に沈んでいる。若手主体で再建を進めるのは良いが、最年長のデボンテ・グラハムでも29歳でしかないチームには経験とリーダーシップが足りず、ミルズの獲得は意味がありそうだ。

キャリア晩年を迎えているミルズにとっては、残りわずかなシーズンであっても有意義に過ごしたいはず。良いモチベーションを得られ、オーストラリア代表でとスムーズに繋げられる新天地を選択したいところだ。