須田侑太郎

「キャッチ&シュートのところをもっと伸ばさないといけないという話しがありました」

現在、男子日本代表はアジアカップ2025予選Window1に向けて合宿を行っている。ワールドカップ2023以降では初めての代表活動となる中、ワールドカップ本大会の出場をあと一歩で逃したが、トム・ホーバス体制になってから代表の常連である須田侑太郎も順当に招集されている。

ワールドカップ2023予選、アジアカップ2022では主力の一員としてプレーしていながら、本大会でコートに立てなかった須田だが、落選の原因は「本当にシンプルで3ポイントシュートを決められなかったところです」と振り返る。「(合宿中は)本当にコンディションが良くなくて、自分の身体では……という感じでした。最大限発揮できるコンディションに持っていかないといけないところが反省で、今は良い感じです」

最後に漏れた理由は明確で「あの時点で、できることはやりきっていました。すごく清々しい気持ちと、ここまで引き上げてもらった感謝をトムさんには伝えさせてもらいました」と納得はしていた。だが、それでも当然のように大きな悔しさが残る中、指揮官の気遣いに救われたと明かす。

「ワールドカップが終わった後、沖縄で行われた記者会見でも名前を出してもらったことは純粋にうれしかったです。(落選して)気持ちの切り替え、整理に時間がかかった部分はもちろんありましたけど、試合は見ていました。トムさんの会見の言葉などもあって、徐々に自分の中に落とし込んでいけて、新たな気持ちで頑張ろうと思えました。すごくありがたかったです」

須田が自身の序列を上げ、パリ五輪の12名のロスター枠をつかみ取るには何が必要なのか。それは3&Dのシューターとして、長距離砲をしっかりと決めることに他ならない。「今回の合宿の前にミーティングがあり、キャッチ&シュートのところをもっと伸ばさないといけないという話しがありました。自分の役割はこれまでと同じで、この部分を乗り越えられれば結果はついてくると思います」

須田侑太郎

「プレッシャーを乗り越えた先に結果がついてくると思います」

何本打って成功率は何%なのか、数字として誰が見ても分かる形で出てくるのはシンプルだが、それ故にメンタルのコントロールは大変だ。「気にしないと言っても、キャッチ&シュートのところが必要と明確になっています。そして今回(の選考レースで)は、前回よりも多分、シュートをいかに決めるかが結果に直結します。1本、1本のシュートの重みは練習中から感じている部分はあります」

このようにプレッシャーを明かす須田だが、どんな気持ちでサバイバルレースに臨むべきかは分かっている。それはワールドカップ前の心身ともにキツイ合宿の経験が生きているという。「(数字を)意識しすぎていいことは絶対にないです。 今までのスタンスを崩さずに、良いシュートを打ち切る。それで結果が良ければいいですし、悪ければそれは受け入れるしかない。簡単なようで難しいことですが、この姿勢をブラさずにいく。このプレッシャーを乗り越えた先に結果がついてくると思いますし、そういった気持ちの持ち方の部分ではまだまだです」

須田の過去2年間に及ぶ代表活動は、最終的に悔いの残る結末となった。だが、ホーバスによって「自分はもうシューターなんだという自覚を持ち、自信を持ってプレーできているのは大きいです」とシューターの覚悟を植え付けられたことは、今シーズンのBリーグにおける活躍に繋がっている。平均9.7得点はここまでキャリアベストの数字で、1月17日の琉球ゴールデンキングスで試合終盤に沈めたゲームウィナーの一撃など、ここ一番で決めてチームに勢いを与える場面も増えている印象だ。

そして、この勝負強さこそ今の彼が最も意識している部分だ。「試合終盤のクラッチタイムなど、試合の中で絶対に勝負どころは何個かあります。そこでいかに決められるのか、確率よりもそういった大事な場面で決め切れるかが、チームを勝たせられるシューターとして次のステップに行くために必要です。それは本当に最近、特に強く感じているところです」

オープンのシュートを高確率で決めることは、激しいポジション争いに勝ち抜くために欠かせない要素だ。それと同時に、相手がタイムアウトを取らざるを得ないようなインパクト大の一撃を決められるかどうかも大切だろう。本人も自覚しているように、それがパリ五輪でコートに立つために必要な進化だ。