ダニエル・ギャフォード

クーズマはマブス移籍を固辞「タイムラインが合わない」

ウィザーズの先発センターを務めていたダニエル・ギャフォードは、トレードデッドラインでマーベリックスにトレードされた。NBAキャリア最初の地であるブルズでは目立たなかったが、2年目の途中にウィザーズに移籍するとガッツ溢れるプレーでゴール下で存在感を発揮。チームがなかなか勝てなかったために高い評価は得られずにいたが、このマブス移籍は彼のキャリアを飛躍させる機会になりそうだ。

そのギャフォードは現地2月10日のサンダー戦で新天地でのデビューを飾り、ベンチから出てわずか17分のプレーで19得点9リバウンドを記録。その2日後に対戦したのは、古巣となるウィザーズだった。「馴染みの顔を見ることができてうれしかったよ」とギャフォードは言う。ただ、感傷に浸っている暇はなかった。この試合では先発に抜擢され、第3クォーター終了時点で78-88と2桁のビハインドを背負っていた。

マブスは今回のトレードデッドラインで多くの選手を入れ替えた。この日はインサイドでともに移籍して来たばかりのギャフォードとPJ・ワシントンがコンビを組むことに。初めてプレーする彼らに息の合った連携は期待できない。「カバーリングのミスがいっぱいあった。最初の3クォーターはかなりフラストレーションを溜めていた」とギャフォードは言う。

「でも、バスケの試合は48分間ある。早くやれるにしても遅くなってしまうにしても、正しいプレーができるようになれば、正しい方向に進むことができる。今日の僕らはそれをやった。イライラしながらも互いに背中を支え合い、奮起して、苦しい局面を乗り越えた」

こうしてマブスは第4クォーターを34-16と圧倒し、逆転勝利を収めている。ギャフォードは16得点17リバウンド、さらには2アシスト5ブロック2スティールと、持ち味である攻守にエネルギッシュなプレーを存分に発揮した。チームに加わったばかりでミスが出るのは仕方ない。まずは自分の特長を押し出し、ミスをしてもそこから学ぶのが今の彼のマインドセットだ。「ミスはあるけど、良いプレーをするための準備は抜かりなくやっているつもりだよ」と彼は言う。

彼は今回のトレードを予期していなかったため、まだ自分の持ち物は「パンツと靴下、試合後に着る服が一式」しかないそうだ。それでもトレードを知らされた時には、ここまで重ねてきたハードワークを思い出して不安を打ち消し、キャリアの新たな挑戦のことだけを考え始めたと言う。

こうしてギャフォードは、再建チームのウィザーズから優勝候補の一つであるマブスへとステップアップし、大きなチャンスを手に入れた。「24分で16得点17リバウンドをやられるのはキツいね。彼にとっては幸せなことだから、こうなって良かったよ」と語るのはカイル・クーズマだ。古巣相手に大活躍したギャフォードについて「スポーツ界で彼ほど楽勝な仕事をしてるヤツはいないよ。どのチームもルカ・ドンチッチにダブルチームを送り込むから、ギャフォードはエリアの真ん中でボールを受け取って、ダンクするかパスするかの判断をミスしなければそれでいい」とジョークを飛ばす。

そのクーズマにも、実はマブスへトレードされる可能性があったと『The Athletic』が報じている。マブスからのオファーを受けたウィザーズ首脳陣は、クーズマ本人に判断を委ねた。そこでクーズマはウィザーズに残ることを選択している。彼は『The Athletic』にその判断をこう説明した。「僕は優勝を経験しているし、プレーオフに出ることがすべてだとは考えていない。結局のところ、真の優勝候補は3チームか4チームしかなく、マブスと僕のタイムラインは合わないと感じた。ウィザーズが僕にいつも率直で正直に接してくれるのはありがたい。フロントって多くの場合は選手に情報を与えず混乱させるからね。僕たちの関係はとても良いものだと思う」