宮崎早織

ハンガリー戦で、ともに高確率でシュートを決めて15得点をマーク

バスケットボール女子日本代表はパリ五輪世界最終予選(OQT)の2試合目でハンガリーに75-81で敗戦。この日、スペインがカナダに勝利したことで、参加4チームすべてが1勝1敗で並ぶ混戦となっている。

序盤に12-2と先行したように、日本は立ち上がりこそ攻守でハンガリーを圧倒したが、試合中の修正力で上回られ徐々にペースを握られて逆転されてしまった。特に第4クォーターは僅差といえ、常にハンガリーがリードしている展開で相手に主導権を握られ続けていた。

そんな劣勢の中でも、最後の最後まで勝利の可能性を残す粘りを見せられたのは収穫であり、特に山本麻衣、宮崎早織のガードコンビの奮闘が目立った。宮崎はフィールドゴール9本中6本成功の15得点6アシスト、山本はフィールドゴール6本中5本成功の15得点6リバウンド6アシストを記録。ともに試合終盤の苦しい場面でタフショットを決めてチームを牽引した。

宮崎はスピードのミスマッチを生かした効果的なドライブで得点を重ねたが、2点を追う残り24秒、決まれば逆転となる3ポイントシュートを狙うも決め切れなかった。「もっと良い選択肢があったのかなと思います」とその場面を悔いたが、マッチアップした相手がドライブを警戒して下がって守っていたことで打てるスペースはあった。打てる時に打ち切る原理原則を考えれば、あの場面でシュートを打ったことは決して間違いではない。

それでも、その選択と同じように、もっと良いプレーができたはずとネガティブな意見が多かった。「終盤に良いプレーはできました。ただ、選択ミスだったり、最初からもっと自分がみんなのことをコントロールできていたら良かったと反省してます」

終盤に3ポイントシュート、ドライブと見事なコンビネーションで守備を翻弄した山本だが、もっとチームメートをうまく絡めたオフェンスをやらなければいけないと語った。「相手はドライブをすごく警戒していたと思います。その中でもっと良い状況判断ができたらよかったです。自分のシュートが入ったところは良かったですが、チームとして足が止まってしまいました。個では打破できないので、そこはもっとチームでいろいろとできるようにしてきたいです」

他国は日本の素早いボールムーブを停滞させるためにスイッチを多用することが多い。だがそれは、宮崎や山本が1対1からドリブルで割って入る大きなチャンスでもある。カナダもスイッチディフェンスを仕掛ける可能性は高いため、ガードコンビの的確な状況判断による、素早い仕掛けが大切になってくる。

そして、2人に何よりも求められるのは、前からどんどん仕掛けていく日本の生命線である平面での激しいディフェンスの流れを作り出すことだ。抜群の運動量と機動力による密着マークが光る宮崎、自分より一回り以上大きな相手にも当たり負けしないフィジカルを持ち、プレッシャーをかけ続けられる山本。ともに強烈な個を誇る2人の守備によって、相手のボールの出しどころにストレスを与え続けることができれば、ゴール下の守備でも後手に回るケースが少なくなる。

オフェンスとディフェンスは表裏一体で、良い守備ができれば必ず日本のやりたいオフェンスへと繋がっていく。ハンガリー戦の内容を見たカナダがよりインサイドを強調したアタックを仕掛けてくる可能性は高い。だからこそ、より鍵となるのは、ゴール下にパスされる前の守備が重要となり、宮崎と山本の働きが鍵を握る。