琉球ゴールデンキングス

文・写真=鈴木栄一

攻守でアグレッシブなプレーを崩さない琉球の勝利

2月10日、琉球ゴールデンキングスと千葉ジェッツの第2戦。ホームの大歓声を背に、序盤から当たりの激しい守備で流れを引き寄せた琉球が、攻めでは前日とは打って変わってゴール下への積極的なアタックを仕掛けて79-67と難敵を撃破した。これで62-76で敗れた前日の雪辱を果たすとともに、連敗を5でストップさせている。

第1クォーター、琉球は佐々宜央ヘッドコーチが「試合の主導権を第1クォーターで握れたのが大きかった」と振り返ったように試合開始から最初の7分を2失点に抑える堅守でリズムをつかみ、12-8と先手を取る。それでも第2クォーター、ジョシュ・ダンカン、田口成浩、西村文男による3連続3ポイントシュート成功を許して早々に逆転されるが、この日の琉球はすぐに反撃。残り約3分にアイラ・ブラウンの3ポイントシュートで勝ち越しに成功する。

第3クォーター序盤、均衡を崩すきっかけとなったのは、前日の試合で欠けていた琉球のペイントアタックだった。古川孝敏、並里成のアタックで得点を挙げた琉球は、さらに田代直希のスティールからの速攻でケビン・ジョーンズがダンクを叩き込み41-31、千葉がたまらずタイムアウトを取る。

ここから千葉も食くらいついていくが、琉球はゴール下を突くことでオフェンスに深みが生まれたことが、外角シュートにも好循環をもたらす。その結果、終盤には岸本隆一、須田侑太郎の3ポイントシュートが決まり、2桁リードを維持する。

勝負の第4クォーターに入っても、琉球の攻守でアグレッシブなプレーは崩れない。特に前日の試合、指揮官が課題に挙げていたフリースローの本数で25-23と五分五分だったことが示すように、シュートが入らずともフリースローで繋ぐことでこの日はオフェンスが停滞しなかった。こうしてセーフティーリードを保ちながら千葉の追い上げをしのいで連敗を止めた。

琉球ゴールデンキングス

岸本隆一「失っていた自信が蘇った感覚があります」

琉球の佐々ヘッドコーチは「僕の中で今週のテーマは、いかに選手に託すのかでした。この2試合、控えから出てくる選手、特に須田と岸本がどういうテンションでプレーできるかが鍵でした。2人とも先週はほとんどプレータイムがなく、このままだったら彼らをダメにしてしまう。だからこそ、試合前に『思いってやってくれ、一つのミスで交代することはないから』と伝えました」と振り返る。

指揮官の期待に応えるように須田と岸本は、2人合計で30分出場の19得点をマーク。3日の新潟アルビレックスBB戦では2人で3分半、無得点だったところから見事なカムバックを果たした。

「アイラも帰ってきてくれて、今日の試合で自分たちがどうあるべきか、これからの道筋であり光が見えた試合となりました」(須田)、「次に向けて活力が湧くゲームになりました。最近、失っていた自信が蘇った感覚があります」(岸本)と、ヒーローの2人はともにチーム、個人としても大きな弾みのつく1勝だったと強調する。

また、琉球にとって大きかったのは前日に3ポイントシュート4本成功を含む14得点を決められた千葉のエースである富樫勇樹を4得点に封じることができたこと。並里が富樫相手にポストアップからの攻めを仕掛けるなど、攻守でプレッシャーを与えた点について「富樫をいじめようとはずっと言っていました。昨日は3ポイントシュートを打たせないことを徹底できなかった。今日はフラストレーションを溜めさせることができ、そういう意味でもいい勝ち方だったと思います」と佐々ヘッドコーチも手応えを得ている。

琉球ゴールデンキングス

リーグ中断期間「まずは身体と心をリフレッシュ」

地区首位対決は、琉球が意地を見せ1勝1敗でリーグ中断期間に入る。この間をどう過ごすか、佐々はインサイドの要ジョシュ・スコットが今シーズン絶望のケガをしたことにより大きく変わらざるを得なくなったチームの再構築への大切な期間になると語る。

「バスケットは練習のスポーツですが、ケビン・ジョーンズが加入し、アイラが沖縄に戻ってきてからほぼチーム練習ができていない状況です。それでうまくいくほど簡単な話ではない。そういった中でごまかしてきたので、休みの間しっかり練習して組み合わせを探っていく。最後どこで攻めていくべきか、これからの20試合を通して勝ちながら見つけていきたいです」

一方、千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「まずは身体と心をリフレッシュさせる。ずっとゲームを続けてきて選手たちの身体的な疲労ももちろんですが、メンタル的な疲労も結構あるとここ数週間感じていたので、バスケットから離れて一回リセットします」と休養を取り、その後で次の修正に取り組む意向だ。

「何か新しいことを付け加えるというよりも、今まで自分たちがやってきたことの細部について、しっかり共通理解を持たせるためやらなければいけないことが、栃木さん、琉球さんとの戦いを通して2つ、3つ見つかりました。そこをしっかり修正していけたらと思います。3月からはブレークがないので、しっかり集中してシーズン最後に向け、チームとしてもう一つステップアップできるようにしたいです」

ともに今後に繋がる収穫、反省点を得た今回のリーグ上位対決。3月に両チームがどんな姿で再びリーグ戦に戻ってくるのかが、チャンピオン争いに大きな影響を与えることは間違いない。

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