A東京・安藤の活躍に発奮「『ちょっとスリーやり返したろ』という気持ちが生まれました」
大阪エヴェッサは、1月27日、28日にアウェーでアルバルク東京と対戦し連敗を喫した。しかし、リーグ最高勝率の強豪相手に、28日は最後までもつれる激闘の末に81-83と惜しくも敗れるなど、これからの巻き返しにポシティブなプレーを見せた。
28日の大阪は出だしから互角の展開を演じたが、第3クォーター終盤から第4クォーターにかけてA東京の安藤周人に3ポイントシュートを連続して決められ、残り約8分で56-71と大量リードを許す。だが、ここから猛反撃を開始し、残り20秒には81-80とひっくり返す。直後に再び勝ち越しを許してしまうが、大逆転勝利まであと一歩に迫った。それゆえ、試合後のマティアス・フィッシャーヘッドコーチは「負けてしまいましたが、内容的には満足しています」と語った。
第4クォーターの見事な追い上げを牽引したのは橋本拓哉だ。高確率の3ポイントシュートと効果的なドライブによって、第4クォーターだけで14得点と大爆発し、試合全体ではゲームハイの21得点をマークした。
「昨日、今日と東の首位のアルバルクさんに善戦できましたが、やっぱり 1点差でも、2点差でも、負けは負けです。修正すべきところはまだまだたくさんあるので、水曜日に向けて修正していきたいと思います」
このように悔しさを見せる橋本は、5得点に終わった初戦との違いについて「昨日はシュートアテンプト自体がすごく少なかったので、今日は思いっきり打ってやろうと思っていました」と語り、同じポジションの安藤に活躍を許したことで負けん気に火がついた部分もあったと明かす。
「後半の良いところで安藤周人選手に決められたので、『ちょっとスリーやり返したろ』という気持ちが生まれました。その後で1本入って乗ってきたって感じですね」
復帰直後だった昨シーズンからの変化「ゲーム感覚を取り戻せていると思います」
橋本といえば、2021年3月、さらに同年11月と続けて右アキレス腱断裂の重傷を負い、2021-22シーズンは全休。昨シーズンに待望の復活を果たしたが、ブランクの影響は大きく本来の力を発揮できなかった。しかし、今シーズンはここまで33試合出場で平均9.6得点、3ポイントシュート成功率はリーグ1位の47.2%を誇る。特にここ15試合の内、11試合で2桁得点、6試合で15得点以上と調子を上げている。
リーグ屈指のシックスマンとして躍動していた故障前の輝きを取り戻しつつある橋本は、次のように今の状態を語る。「昨シーズンはすごくチームに迷惑をかけたというか、本当にバスケット感覚がなかったです。全くないわけではないですが、約2シーズンぶりの復帰でふわふわした状態でした。バスケットは瞬間瞬間で判断するスポーツだと思いますが、そこでワンテンポ遅れたり、打って良い場面で打たないところがありました。今シーズンは、そういったところでのゲーム感覚を取り戻せていると思います」
2度の重傷は肉体だけでなく、精神面でも大きな傷となった。故障への恐怖が完全になくなることはない。「いまだに他の選手が転倒したりする場面を見ると、いまだにウッっとなってフラッシュバックみたいなことはあります」
ただ、それでも「シーズン序盤よりは思い切ってプレーできる気持ちになれていて、試合になったら恐怖を忘れることもできています。そのあたりは成長できたところかなと思います」と心身ともに着実にステップアップできている。
現在、西地区の下位と苦しんでいる大阪だが、この試合が示すようにリーグトップクラスのチームと渡り合える力を十分に備えている。このまま主力に故障者がない状態をキープできれば、これからのリーグ後半戦で浮上してきても驚きではない。そうなった時、橋本はスコアラーとして今より存在感をさらに増しているはずだ。