桶谷HC「正直、今の宇都宮さんに1勝1敗は悪くないと思っています」
琉球ゴールデンキングスは1月20日、21日に行われた宇都宮ブレックスとの上位対決を1勝1敗で終えた。初戦は最後までもつれる激闘を68-66で制したが、第2戦は7点をリードした第4クォーター残り4分半からまさかの無得点と、オフェンスの急ブレーキにより68-74で敗れた。
第2戦の宇都宮はビッグマンのアイザック・フォトゥを故障で欠いたこともあり、琉球としては勝利して、難敵相手に価値ある同一カード連勝を成し遂げたいところだった。直近の8試合で3勝5敗と明らかに調子を落としていただけに、この現状を冷静に考えれば1勝1敗で終えたのは、御の字と言える結果と言える。
桶谷大ヘッドコーチもこのように語る。「正直、今の宇都宮さんに1勝1敗は悪くないと思っています。しっかり勝ってきているチームでギャビン(エドワーズ)選手がいなくて、今日はフォトゥ選手もいなかったですが、比江島(慎)選手、(DJ)ニュービル選手と、ポイントになる選手がプレーしている中で、結果としては悪くないです」
また、同じ接戦での負けでも、ともに2点差で競り負けた元旦の仙台89ERS戦、17日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦と比べて、中身に変化はあると見ている。「この前の名古屋D戦、仙台戦とは違う内容で、今回は成長しながら負けていると思います。そして最初のメンタル、最後の締め方をしっかりやることで、これから成長できると思います」
この日、琉球は出だしで4-18のビッグランを許したが、そこから盛り返すことで一時はリードを奪った。この巻き返しの原動力となったのは松脇圭志だった。第3クォーターの最後と第4クォーターの序盤に持ち前の強靭なフィジカルを生かした密着マークでニュービルを止めると、オフェンスでも3ポイントシュート6本中3本成功と、攻守でチームに勢いを与えた。
「3ポイントシュートを決め切るのが一番大事で、チームにとっても必要なこと」
「今日は本当に出だしの部分のビハインドと、クロージングの部分が大きな敗因だと思います。出だしでもっと点数を抑えられたし、クロージングではもっとミスを減らせれば自分たちの流れになって、勝ちに近づけたと思います。細かい部分ですが、そこを修正していきたいです」
このように松脇は試合を総括する。そして、比江島、ニュービルとBリーグ随一の破壊力を誇るガードコンビを相手に見せた粘り強くタフなディフェンスについては、「僕に限らずチームとしてもニュービル選手と比江島さんのところは比較的、守れたと思います。ただ、ちょっと気を抜く部分があり、それで決められたところはあったので詰めの部分を修正していきたいです」と振り返る。実際、比江島とニュービルが放ったシュートの内容を見ると、第1戦は合計で20本中8本成功、第2戦は31本中11本成功と決して精度は高くなく、及第点と評価できる。
今節、琉球は小野寺祥太、田代直希の2人が欠場するなど、ウイング陣の層が薄くなっている。そのため、松脇には今まで以上に多くの期待が寄せられており、本人もこのような強い覚悟を持っている。
「今日みたいな感じでディフェンスをして走って、持ち味である3ポイントシュートを決め切るのが一番大事で、チームにとっても必要なことだと思っています。後半戦に向けて、今ウイングの人数がいないのでそこをカバーできるように。毎試合、この2試合のような気持ちを持って挑みたいと思います」
今回の宇都宮戦で、リーグ屈指の3&Dとなれる松脇の非凡な能力はあらためて実証された。現在、3ポイントシュートの成功率は30%を切っているが、試投数は昨シーズンの平均4.0本から5.5本と積極性が増している。確率は今後収束すると考えれば、ここからの後半戦、松脇の長距離砲が火を噴く場面はより多くなるとポシティブに捉えることもできる。
これから琉球が勝率を高めていくには今村佳太、岸本隆一に続く日本人のコアメンバーとして松脇のさらなるステップアップが期待される。松脇は今まで以上にチームに貢献していきたい思いを持つ一方で、自身の性格的にこれまでと同じく自然体でプレーしたいと語る。
「変に意識しちゃうと僕はプレーできなくなるので、考え込まないようにやっていくつもりです。スタメンでも、ベンチスタートでもやることは変わらないです。オフェンスではシュートを決めれる人がたくさんいますし、ディフェンスをやれる人もいます。影ではないですけど、いたら地味に面倒くさいなと思われるプレーをしていきたいです」
存在感の大きすぎる黒子として、松脇が攻守で沖縄アリーナを沸かす機会が増える時、自然と琉球の白星は増えていくはずだ。
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