「僕はいつも自信を持ってシュートを打っている」
ホークスvsマジックは、最も点差が開いた時でも7点差という接戦のまま終盤を迎えていた。ホークスはトレイ・ヤングが粘り強くファウルを引き出してはフリースローで価値のある得点を繋ぎ、マジックはパオロ・バンケロとマーケル・フルツの得点で食い下がる。
残り26秒にトレイが2本のフリースローを決めてホークスが104-101と抜け出し、マジックの攻めに対して完璧なディフェンスを遂行してボールを運ばせない。それでもマジックは攻めきれないところから仕切り直し、パオロ・バンケロが強引なディープスリーをねじ込んで同点に追い付いた。
残り9秒。普通ならタイムアウトを取って最後のオフェンスをデザインするところだが、ホークスの指揮官クイン・スナイダーはそうしなかった。スナイダーは「相手がディフェンスを整える前に仕掛けるべきだと考えた」と語る。
リスタートのパスをデジャンテ・マレーが受けた場面、トレイにはディフェンス自慢のジェイレン・サッグスがディナイでボールを出させない。それでマレーは瞬時に自分で攻めることを選択し、スピードに乗ったドライブから急ブレーキをかけてのクロスオーバーをまじえて相手ディフェンスを引きはがしてミドルジャンパーを放つ。ブザーとともにこれがリングに吸い込まれると、マレーは客席に向かっての仁王立ちでファンと喜びを分かち合った。
マレーは言う。「僕はいつも自信を持ってシュートを打っている。外すつもりはなかったし、これで決着を付けるつもりだった。僕は相手の守備次第で反応するタイプだから、相手の動きをよく見て動きを選択していた。結果的に自分の得意な位置から打てたよ」
ホークスのターンオーバー総数は23とミスが多く、マレーも5アシストに対して5ターンオーバーを記録した。それでマジックに付け入る隙を与え、必要以上の苦戦をした試合展開でもあったため、マレーは反省も語った。「結果的には上手くいったし、勝ったから自信になるけど、本当はここまでギリギリの勝負をしなくて済んだはずだ。ボールをもっと大事にすること。そこは自分から変えて、もっと良いプレーができるようにしたい」
トレイ・ヤングはその時、明らかにボールを欲しがっていたが、結果に異存はない。「デジャンテはデジャンテの仕事をした。タイムアウトを取るかと思ったけどそうはならず、デジャンテに最後のプレーを託した。僕らは彼のためにスペースを作り、彼が決めてくれた。結果としてベストな選択だったと思う」
劇的な勝利を収めたとはいえ、ホークスは17勝23敗と勝率5割が遠い。トレードデッドラインまでにマレーをトレードで放出するとの噂も浮上している。マレーは『TNT』の番組でトレードについて聞かれ「今はホークスの一員だよ。プロフェッショナルとして、やるべき仕事をやるつもりだ」と答えている。
この決勝ブザービーターがトレードを後押しするのか、それとも残留へと傾くのか。デリケートな時期に決めたゲームウィナーは、彼の運命を変えるかもしれない。