「久しぶりにこの場所に帰ってきたなと。懐かしい感じがあります」
頼れる元気印が女子日本代表に帰ってきた。東京五輪後の2022-23シーズンの選手活動を休養し、今シーズンよりデンソーでプレーする馬瓜エブリンだ。180cmのフォワードはWリーグでブランクを感じさせないパフォーマンスを発揮し、チームの皇后杯初優勝に貢献。恩塚亨ヘッドコーチ体制に移行して以来初となる日本代表候補に招集された。
「久しぶりにこの場所に帰ってきたなと。懐かしい感じがあります」。1月11日、ナショナルトレーニングセンターで実施されたメディアデーでそのように語った馬瓜だが、再び五輪代表候補になることは想定していなかったという。
「まったく考えてないです。そんなに甘いものだとは思っていなかったし、そもそもWリーグでプレーすることも今年はけっこう(大変)だろうなと思っていたので、メディアに出た時はいつも『パリはまだわからないです』と言っていました」
馬瓜は選出された時の心境をこのように振り返りつつも「リーグで結果を残しているのを見てくさだっての選出だと思うし、この場所に立っているからには責任があると思うので、まずは今回パリへの切符をちゃんとつかめるように、そして、最終的には(妹の)ステファニーと一緒に出られたらすごくいいなと思っています」と抱負を話した。
180cmのサイズで190cm超のビッグマンと対峙「足を動かして守りたい」
機動力とアウトサイドからの攻撃力を持ち味とし、東京五輪でもそれを存分に発揮した馬瓜だが、今回のチームでは「4番(パワーフォワード)か5番(センター)にフォーカスするイメージがあります」と本人は言う。特にディフェンスでは大黒柱の髙田真希とともに190cm超のビッグマンたちとやり合うことが想定されるため、「もっと頑張らなきゃいけない」と力を込める。「身体の強さにも対策するため、短い期間の中でしっかりトレーニングを積んで当たり負けしないようにしたいですし、面と面で対抗するだけでなくしっかりと足を動かして守りたいと思ってます」
また、オフェンス面でも、スモールラインナップだからこそ果たす役割は大きいと考えている。「自分が4番、5番でプレーすると世界では本当に小さいと思うので、走り負けないっていうのが生命線になってくるかなと思います。リーグでやってきた、先頭を切って走ることを代表でもやっていきたいです」。恩塚ヘッドコーチが掲げる『走り切るシューター軍団』というチームコンセプトを体現するキーマンとなりそうだ。
日本中が歓喜に包まれた東京五輪を「WNBAのスーパースターたちにあこがれるんじゃなくて、私たちも同じ場所で戦えると実感した大会」、「海外の選手に『私たちもこのスタイルでやれば勝てるんだ』っていうことをアピールした大会」と総括する馬瓜。パリ五輪はまた新たなものを見出す大会になると見ている。
「きっと周りのチームも日本用にいろんな対策を用意してくると思うし、私たちもこれから新しい戦術を取り入れていくんだと思います。自分も『新しいエブリン』として今ここに立っているという感覚でやらせていただいています」
恩塚体制初招集となる馬瓜は、まずはチームのスタイルにアジャストすることからのスタートとなる。しかしOQTを勝ち抜き、再びの五輪にチャレンジするチームに『新しい馬瓜』の存在は大きな力を与えるだろう。