デイミアン・リラード

デイミアン・リラード「見た目ほど難しくはない」

現地1月14日のバックスvsキングス、ヤニス・アデトクンボは肩の痛みを抱えながら強行出場し、27得点10リバウンド10アシストのトリプル・ダブルとスタッツは残したものの、攻守にいつもの力強さを欠いた。右膝のケガで欠場したクリス・ミドルトンに代わって先発したルーキーのアンドレ・ジャクソンJr.はファウルトラブルで10分しかプレーできず、期待に応えられなかった。

セルティックス、ウォリアーズと難敵に連勝していたが、4日で3試合をこなす過密日程にバックスは苦しめられていた。第4クォーター残り8分で12点までリードを広げたのだが、そこから失速。ケビン・ハーターとマリーク・モンクの得点で猛追され、ディアロン・フォックスにアデトクンボがスピードで抜かれてのレイアップで追い付かれ、延長に持ち込まれた。

こうなると試合はキングスのペースだったが、バックスはジャクソンJr.以外のスタメン全員の出場時間が40分を超え、体力的にはもう限界でも気持ちを切らさなかった。アデトクンボのキックアウトからブルック・ロペスが3ポイントシュートを決めて1点差に迫ると、ファウルゲームのフリースローをフォックスが1本外す。こうして残り5秒、2点差で最後のポゼッションが回ってきた。

タイムアウトは使い切っており、自陣からの再開。デイミアン・リラードは、ロペスに一度ボールを預けてすぐにリターンのパスをもらうと、ドライブで加速してフォックスのマークを振り切り、ドマンタス・サボニスがカバーに入るより一瞬早くシュートを放った。距離のあるシュートで、身体は流れていたが、リラードにとっては問題なかった。トレイルブレイザーズ時代に何度も見せてきた勝負どころの一本を彼は外さない。

ブザーとともにシュートがリングをとらえると、リラードは左手首を指すお馴染みの『デイム・タイム』のセレブレーションを見せた。その彼に一番に飛び付いたのはアデトクンボで、すぐにチームメートの手荒い祝福で彼の姿は見えなくなった。

リラードはその瞬間をこう振り返る。「僕をマークするフォックスをかわすよう方向を変えて、相手に囲まれるような状況を避けながら良いシュートを打てる場所を探した。クロックを確認した時点で4秒あったから、ハーフラインを越えて良い位置に行く時間はあると認識していた。それで良いシュートが打てたと思う。難しいシュートだと言われたけど、見た目ほど難しくはないと思っている。あれは自分の形だからね」

『デイム・タイム』と呼ばれる彼のクラッチタイムの勝負強さは、NBAの中でも際立っている。彼は「自信はかなりあるよ」と事もなげに言う。「決まった場所から打とうとはしない。流れの中で良いスペースが見つかれば『行ける』と思えるものなんだ」

「自分のプレーがチームメートに評価してもらえるのは素晴らしいこと。今までもこういうシュートは何本も決めてきているしね。キャリアにおいてああいう場面すべてで決めているわけじゃないけど、やるべき場面でやれる選手でありたい。今日はそんな場面だったと思う」