トバイアス・ハリス

37得点で勝利に貢献するも、キャリアハイ更新ならず

トバイアス・ハリスはセブンティシクサーズが勝てない時に、しばしば必要以上に敗戦の責任を背負わされる。所属6年目の古株ではあるがエースではないトバイアスに5年1億8000万ドル(約270億円)は払い過ぎだとファンの多くは考えており、その感情がしばしば彼への批判に繋がる。

それでもファンは現金なもので、現地1月12日のキングス戦、ジョエル・エンビード不在の試合でトバイアスが攻守に素晴らしいプレーでチームに勝利をもたらすと、アリーナは彼の愛称である「トビ!」コールに包まれた。そしてトバイアスは「うれしいね」と笑顔を見せた。

トバイアスはキングスのキーマンであるドマンタス・サボニスをマークしてインサイドのプレーメークを封じ、エンビードに代わってセンターを務めるポール・リードとモー・バンバの経験不足を補い、いつもより積極的にリムへと攻めた。トランジションで走り、1対1を臆せず仕掛け、タイリース・マキシーとのピック&ロールでも美しい連携でシュートを決めていく。

パワフルに押し切っての得点もあれば、軽やかなステップでディフェンスをかわす得点もあり、中でも外でも多彩な形で得点を奪うことのできる彼の面目躍如。こうしてフィールドゴール25本中14本成功の37得点、7リバウンドに3アシスト3スティールを記録した。

キャリアハイの39得点にはわずかに及ばなかったが、それは18点リードの残り3分13秒で彼を含む主力がベンチに引き上げたから。トバイアスは「すごく良いリズムでプレーできていたから、試合が接戦でプレータイムがもう少し伸びていたら、キャリアハイを更新できただろうね」と言う。

ただ、彼はどこまでも正直で謙虚であり、ヒーローになった夜でも「最後は4本連続でシュートを外したから、試合展開のせいにしちゃダメだね。こういう時は肩に力を入れすぎることなく流れに任せてプレーすべきなんだけど、力んでしまった。40得点できるチャンスだったのに残念だよ」と、笑顔を保ったまま話す。

シクサーズは24勝13敗で東カンファレンス3位と好位置をキープしている。ここから浮上し、彼らが望む順位へと行くにはエンビードの力は欠かせないが、レギュラーシーズンに彼が無理をしなくても他の選手の頑張りで勝ちを重ねるのも大事だ。トバイアスは必要とされた時にチームに必要な貢献をした。彼が自信を高め、ファンからの支持を得ることは、チームの今後に大きくプラスになるはずだ。