ビクター・ウェンバニャマ

「僕は無駄話をするより結果で示したいタイプ」

スパーズのビクター・ウェンバニャマが現地1月10日のピストンズ戦でNBAキャリア初のトリプル・ダブルを記録した。試合開始から45秒で、ウェンバニャマはトレ・ジョーンズの2本のレイアップをアシストし、続いて自ら3本のシュートを連続して決め、さらにはジェレミー・ソーハンのダンク2本をアシスト。試合開始から5分半でスパーズが挙げた14得点すべてが彼の得点かアシストにより生まれた。

今シーズンは全く勝てていないピストンズはケイド・カニングハムを膝のケガで欠いており、立ち上がりでつまずくともう立ち直れなかった。スパーズは第1クォーターで31-19と2桁のリードを奪い、その後も危なげなく試合を進めて130-108で勝利した。

楽勝の展開で主力のプレータイムは伸びなかったが、ウェンバニャマは着々とスタッツを伸ばしていく。前半で12得点9リバウンド4アシストを記録。第3クォーターにはリバウンドを2桁に乗せるとともにアシストも3つを追加した。第4クォーターのファーストプレーでアリウープを決めると、そこからアシスト狙いできっちり3つを記録。第4クォーター残り8分16秒と余裕を残し、ウェンバニャマのパスを受けたダグ・マクダーモットが3ポイントシュートを沈めたところでトリプル・ダブル達成となった。

試合後のウェンバニャマは上機嫌で「シーズンを通していろんなことを試しているけど、今日は上手くいく日だった。チームとしてプレーが噛み合って美しいバスケができたと思う。ウチは試合ごとにいろんな選手が活躍する。今日は僕の日だったみたいだね。記録については、チームの勝利の中で達成できたことがすべてだ」と語る。

スパーズは再建中で、もちろん試合で勝つことを求めているが、それと同時に選手の成長をうながし、チームとして最大の効率を引き出すために様々なテストを行っている。この日はウェンバニャマに多くのボールを預け、攻撃の起点役とした。ヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチは「彼はここに来る前から良いパサーだったから」と、ウェンバニャマのアシスト連発に驚きはしなかったが、アシストが2桁まで伸び、ターンオーバーを一つも記録しなかったのは素晴らしい成果で、今後のスパーズの戦い方に幅が出そうだ。

ウェンバニャマは、トリプル・ダブルをする上で最も難しいアシストについて「チームメートが正しいカットをして、僕からのパスを上手く決めてくれたおかげだ」と、あくまでチームメートを称えた。

20歳と6日でのトリプル・ダブルはスパーズ史上最年少の記録。プレータイム21分2秒でのトリプル・ダブルは、サンダー時代のラッセル・ウェストブルックの20分17秒に次ぐリーグ2番目の最速記録となる。

「NBA史上2番目の記録だとは知らなかった」とウェンバニャマは笑顔を見せる。「僕にとっては大事なことなんだ。僕は無駄話をするより結果で示したいタイプだからね。記録を残せて良かった」