TJ・マッコネル

ハリバートン抜きでセルティックスに劇的な逆転勝ち

現地1月8日のセルティックス戦、ペイサーズはタイリース・ハリバートンを失った。ドライブで仕掛けてストップした際に足を滑らせ、股関節が限界以上に開いたところに自分の体重が加速度とともに乗ってしまい、ハリバートンは左ハムストリングスを手で押さえて悶絶。痛がる表情をタオルで隠され、バディ・ヒールドとジェームズ・ジョンソンに担がれてコートを去り、戻って来ることはできなかった。試合後に検査が行われ、左ハムストリングスの捻挫で2週間の戦線離脱と診断された。

インシーズン・トーナメントのファイナル進出を始め、今シーズンのペイサーズはペースの速い攻撃的バスケでNBAのサプライズチームとなっている。高速パスワークの中心にいるのはハリバートンで、ここまで23.6得点、12.5アシストを記録。全員が走り回るペイサーズでこれだけアシストを記録しながら、ターンオーバーが少ない(2.5)のが特徴で、替えの利かない選手となっている。

ケガをした瞬間には長期離脱の予感もあっただけに、2週間程度で済んだのはペイサーズにとって不幸中の幸いだ。それでも東カンファレンスは激戦で、現時点でペイサーズの21勝15敗には4位から8位まで5チームが並ぶ。回復が順調に進んでも8試合から10試合はハリバートンを失うと考えると、このアクシデントがプレーオフ進出を大きく妨げるかもしれない。

昨年の1月11日、ハリバートンはニックス戦でシュートに行った後にバランスを崩し、左膝の骨挫傷、左肘の捻挫で3週間の戦線離脱となった。この時、ペイサーズは10試合で1勝しか挙げられず、そのままプレーオフ戦線から脱落している。バディ・ヒールドは「僕もその時のことが頭をよぎった」と話す。ハリバートンの検査結果がまだ出ていなかった試合直後、ヒールドはこう語っていた「それが誰であれ、チームメートを失うのは嫌なものだ。しかもタイリースはこのチームに多くのものをもたらす重要な戦力だ。あいつは僕にとって弟みたいなもの。大好きなヤツなんだ。その彼を失うのは悲しい」

去年は23勝18敗で、今年は20勝15敗でハリバートンを欠くことになった。去年の悪夢が頭をよぎるのは当然の反応だろう。しかしこの日のペイサーズは、2日前にハリバートン込みで完敗を喫したセルティックスを相手に、後半に押し返して133-131の逆転勝利を飾った。

「昨シーズンよりずっと上手く対処できると思う」とヒールドは言う。「僕たちは厳しい戦いに慣れ、自分たちの実力が問われることを恐れない。コーチングスタッフも僕ら選手も、全員がより真剣な雰囲気で、プレーオフ進出という目標に進み続ける」

セルティックス戦の後半にはTJ・マッコネルが10得点4アシストとハリバートンに代わって素晴らしいプレーを見せた。マッコネルはペイサーズで5年目のシーズンを迎えているが、今シーズンはハリバートン、アンドリュー・ネムハードに続くポイントガードの3番手でプレータイムはキャリア最少に落ち込み(15.7分)、8試合では全くプレーしていない。リック・カーライルの構想から外れているとも言える状況にあったマッコネルがオフェンスを引っ張ることで、セルティックスのペイサーズ対策を打ち破った。セルティックスのジェイレン・ブラウンは「ハリバートンがいなくなった後に、ペイサーズはチームの結束力を増し、プレースピードをさらに上げたように感じた」と、その能力に脱帽している。

ハリバートンがケガをするアクシデントがあってもセルティックス相手に勝てたことは、チームにとって大きな自信となる。ヘッドコーチのリック・カーライルは言った。「どの試合でもチームで戦う強い意志が必要になる。試合ごとに1人か2人がヒーローになってくれることを願うよ。それがこのチームのあるべき姿なんだ」