レブロン・ジェームズ

リーブス「負けているチームの雰囲気は悪くて当たり前」

レイカーズは現地1月3日のヒート戦に敗れ、17勝18敗と借金生活に突入した。ジミー・バトラーがケガで欠場するヒートに、開始4分以降はずっとビハインドの展開を強いられての96-110と良いところのない試合を終えて、ロッカールームでアンソニー・デイビスが取材を受ける。「いろんな要素があって、自分たちのやりたいことができていない。今日のヒートは僕たちより良いプレーをし、フィジカルに、そして激しく戦った。今はすべてが上手くいかない。ここままじゃダメだから、課題に対処しなきゃいけない」

デイビスが感情を込めることなく落ち着いて言葉を続ける間、その隣ではレブロン・ジェームズが無言のまま着替えを済ませ、デイビスの次は当然自分になるであろう取材の順番を待つことなく去っていった。コメントを拒否したわけではないが、『リーグの顔』を自認してメディアと向き合うことを避けないレブロンとしては、非常に珍しい光景だ。レイカーズの状況は、それだけ悪いと見ていいだろう。

勝てていないのだから批判されるのは仕方ない。ただ、今のレイカーズの問題は選手起用にある。ダービン・ハムは開幕早々にオースティン・リーブスをベンチに送り、その後にディアンジェロ・ラッセルもベンチスタートにした。八村塁はもともと先発だったりベンチスタートだったりと起用法も出場時間も安定しない。このチームで年俸が高い2人はレブロンとデイビスで、ハムはこの2人に全面的な信頼を寄せる一方で、年俸で3番手から5番手となるラッセル、八村、リーブスへの信頼は薄い。ディフェンスの安定感を前面に押し出して戦おうとするハムが信頼するのは別の選手だ。

ハムは「私が特定の誰かを軽んじていることはない」と否定する。「今はケガ人が多い。コンディションが回復したら、全体としてまとまりのある起用法を見いださなければいけない。これだけ頻繁に選手が入れ替わるのでは、リズムをつかむのは不可能に近い。それが現実であって、誰かを軽んじているわけではない」

最初は一部のメディアが、そして今では多くのメディアが、指揮官ハムは孤立しつつあると報じている。ケガはあるにせよ序列を無視した起用法が結果に結び付かず、それでも強行し続けるハムに、選手が愛想を尽かしているという内容だ。その一番手と見られているのがレブロンで、だからこそ彼はそそくさと会場を後にしたのかもしれない。

代わりに対応したのはリーブスで、「はっきり言うと、ロッカールームの雰囲気は悪い」と彼は言った。「でも誤解しないでほしい。僕らは負けているんだ。負けているチームのロッカールームの雰囲気は悪くて当たり前。それは勝てないことに対する怒り、自分たちのプレーに満足していないことへの憤りであって、僕らがお互いを嫌っているということではない。負けているのに荒れた雰囲気にならなかったら、それはそれで問題だよ」

ただ、選手とコーチの信頼関係は勝てないことで壊れていく。納得のいかない選手起用があればなおさらだ。シーズンはまだ折り返し地点前で、ポストシーズンに『完璧なチーム』に仕上がっていればいいとハムは考え、そのために時間はかかってもベストの起用法を模索しているのかもしれない。

だが、ここからレギュラーシーズン後半戦に順位を上げて、シード下位から勝ち上がっていくには相当なパワーが必要で、そのために最も犠牲を払わなければならないのはレブロンだ。レブロンとデイビスのフル回転を前提とし、なおかつ残りのピースの組み合わせをいつまでも見つけられないコーチに彼が愛想を尽かすとしても不思議はない。勝てていないチームの雰囲気は悪くて当たり前なのだ。