決勝戦では4得点と不発「単に自分の力不足だったと思います」
福岡大学附属大濠は福岡第一に53-63で敗れ、ウインターカップ優勝を逃した。4年ぶりとなる『福岡決戦』だったが、前回に続いて敗れてしまった。
この試合、福岡大濠は序盤から福岡第一の激しいプレッシャーディフェンスにリズムを崩され、タフショットを打ち続けることに。その結果、今大会随一のタレント集団は3ポイントシュート29本中5本、フィールドゴール全体でも70本中20本成功の成功率28.6%に留まるなど、自分たちのやりたいオフェンスを全く遂行できなかった。
福岡大濠の2年生フォワードの髙田将吾は、切れ味鋭いドライブと外角シュートを兼備した世代屈指のスコアラーだ。9月に行われたU16アジア選手権では、日本のエースとして大会6試合でチームトップの平均16得点を記録している。
今大会でも準々決勝で16得点、準決勝で18得点と、非凡な得点能力を披露していたが、決勝ではフィールドゴール14本中2本成功の4得点と、不完全燃焼に終わった。中学時代から大舞台を経験しているが、自身初となるウインターカップの決勝戦は「自分でそういうつもりはなかったですが、シュートで力んでしまった部分がありました。決勝は違うなと思いました」と、普段通りにプレーできなかった。
ただ、シュートタッチが悪かったのは、何よりも自身の力不足が原因だと髙田は自らに矛先を向ける。「第一さんのディフェンスの強度、ボールをもらう前のプレッシャーはこのウインターカップでは感じたことのないものでした。ただ、第一さんと今年だけで10回くらい対戦しているので、ディフェンスの圧は分かっていたつもりです。それで対応しきれなかったのは単に自分の力不足だったと思います。ジャンプシュート、3ポイントシュートが自分の武器だと思いますが、それを一本も決められない。自分でチャンスを作ることもできなかったですし、力不足でした」
「14番をもらった時から、自覚と責任を持って1年間やりきろうという思いです」
髙田は『自分の力不足』という言葉を何度も使った。2年生として決勝進出に大きく貢献したにも関わらず、このような思いになるのは、背番号14を背負っていることも影響している。現在、NBAグローバルアカデミーに在籍する川島悠翔が昨年は身につけるなど、大濠にとって14番はエースナンバーだ。
今年のチームには同じ2年生で206cmのビッグマン渡邊伶音、シューターの湧川裕斗など逸材がいる。その中で髙田は14番を託され、この重圧を正面から受け止めてきた。「14番をもらった時から自覚と責任を持って1年間やりきろうという思いです。今日も強い気持ちでやると決めていました」
だからこそ自分を責め、高校最後となる来年こそ、エースとしてチームを頂点に導きたいと語る。「今年は周りから見たら頼りない存在だったと思います。最後も得点で貢献することができなかったです。どんな相手にも通用するように一からプレーを磨き、来年はみんなから頼りになると言われる存在になりたいです」
また、髙田といえば、八村塁、馬場雄大の母校でもある富山県の奥田中出身だ。U16代表のエースを務めるなど、先輩たちに続く逸材として紹介されることも多い。それを重圧に感じてもおかしくはないが、この状況をモチベーションにするたくましさを髙田は持っている。「偉大な先輩たちに憧れていますし、自分もそういう選手になりたい思いが強いです。(こうやって取り上げられることを)力に変えていきたいです」
髙田、渡邊、湧川など今年の大濠は下級生主体のチームであり、来年への期待はより高まっている。しかし、片峯聡太コーチはこのように危機感を持っている。「先発に2年生と1年生が4人いる状況で今後が楽しみだと、いろいろなところから見ていただくのは非常にありがたいです。ただ、強烈なリーダーシップ、求心力を持った選手が出てこないと、チャンピオンにはなれないと思います」
指揮官が求めるリーダーになり得る能力、そして重圧に耐えられる強靭な精神力と覚悟を髙田は備えている。