深澤桜太

出だしと終盤、要所での3ポイントシュート爆発で難敵に勝利

ウインターカップの男子準々決勝で、土浦日本大学がインターハイ王者の日本航空に94-85で勝利。これで松脇圭志(琉球ゴールデンキングス)、平岩玄(アルバルク東京)らを擁した、2015年以来となる4強入りを決めた。

第1クォーター、土浦日大は立ち上がりからテンポよく放った3ポイントシュートが、13本中8本成功といきなりの大爆発で、38-20のビッグクォーターを作り出す。しかし、第2クォーター以降は長距離砲の確率が落ち始め、オルワペルミ・ジェラマイアのインサイドを中心とした日本航空の反撃を受け、第3クォーター終了時には57-62と逆転を許してしまう。

だが、この劣勢にも土浦日大は集中力を切らすことがなかった。ジャラマイアに38得点を奪われたが、しっかりコンタクトをする身体を張ったディフェンスを続け、イージーシュートの機会を最小限に抑えた。こうして、劣勢をしっかり耐えた土浦日大に再び3ポイントシュートの当たりが戻る。第4クォーターで10本中5本成功と確率よく決めると、インサイドでも効果的に得点。37-23とこのクォーターを圧倒することで、アップセットを達成した。

この試合、土浦日大の最大の勝因となったのは、計16本を沈めた3ポイントシュートだった。中でも「シュートは自分の強みです」と言い切る齋藤翔太は、11本中5本成功でチームハイの28得点の活躍だった。

そして「スタートから得意とする3ポイントが入りました。途中で入らなくなりましたが、ずっと打ち切ることで最後に決めることができたので良かったです」と齋藤が振り返ったように、入らない時でも打ち続けた積極性が、第4クォーターでの当たりを呼び込んだ。

深澤桜太

インターハイ初戦負けを糧に「個人の武器を磨いて、チームとして強くなれました」

また、効果的に3ポイントシュートを決めることができたのは、199cmの深澤桜太が19得点11リバウンドと攻守に渡って存在感を示したことも大きかった。深澤の活躍によって、日本航空のディフェンスは、3ポイント封じに注力することができなかった。

振り返れば土浦日大は、9月下旬にU18関東ブロックリーグで日本航空と対戦し、65-98と大敗を喫している。だが、この試合には深澤が故障でいなかった。彼の存在が、チームにとってどれだけ重要かをあらためて示す今回のハイパフォーマンスだった。

「自分がジェリー選手(ジャラマイア)を止めなければと思っていました。昨日の夜に試合を見ながらミーティングをして、僕がゴール下を止めないと優勝には導けない、と話し合いました。自分が身体を張った結果が出たのかと思います」

このように試合を振り返る深澤は、ジャラマイア対策で次のことを意識していたと続ける。「2回戦の鳥取城北さんと試合した時、相手の留学生選手のドライブに逃げてしまった部分がありました。今回はドライブに対して、飛ばずにハンズアップして身体を張って止められたのがよかったです」

試合終了のブザーがなった直後、深澤はチームメートと抱き合い感情を爆発させた。そこには、チームメートのおかげで自分はウインターカップでプレーできている、との大きな感謝の念がある。「予選はケガをしていて出られなかったです。みんなが頑張ってくれたおかげで自分はここに立てているので、次は自分が恩返しするしかないと思っていました」

土浦日大はインターハイで仙台大学附属明成に敗れ、1回戦で姿を消した。だが、「明成さんに負けたのはすごく悔しかったです。でも、この経験があったからこそ、それぞれが個人の武器を磨いて、チームとして強くなれました」と深澤が語るように、悔しさを成長の糧にした。その成果が表れた、夏の王者撃破劇だった。