クレイ・トンプソン

他の選手の衝突を機にグリーンがゴベアの首を絞める

現地11月14日に行われたウォリアーズvsティンバーウルブズは、チェイス・センターのコートがシーズンイントーナメント仕様に彩られ、ステフィン・カリーが右膝を痛めて欠場した以外はいつもと変わらない試合のはずだったが、開始わずか1分半に起きた乱闘で様相は一変した。

まだスコアは動かず0-0、アンソニー・エドワーズの3ポイントシュートがリングに弾かれてウォリアーズへとポゼッションが移る。速い展開に持ち込もうとするウォリアーズと、それを阻もうとするウルブズ。走るコースが重なったクレイ・トンプソンとジェイデン・マクダニエルズの2人が交錯し、走りながら互いのユニフォームをつかみ合う形になった。マクダニエルズがクレイを振りほどこうとし、クレイがマクダニエルズを振り回す。もつれ合う両者を止めようと両チームの選手が駆け寄る中、その一人だったルディ・ゴベアにドレイモンド・グリーンが背後から襲い掛かった。

この瞬間から、乱闘の中心はゴベアとグリーンに移った。ユニフォームの胸部が大きく裂けたクレイはマクダニエルズと罵り合っていたが、いずれもチームメートに制止されてベンチへと戻った。一方でグリーンは背後からゴベアにヘッドロックをかけて引きずり回す。レフェリーは映像を確認した上で、クレイとグリーン、マクダニエルズの3人を退場処分とした。

アリーナが騒然とする中、ゴベアのフリースローでこの試合最初の得点が生まれる。カリーだけでなく、クレイとグリーンの『ビッグ3』を失ってはウォリアーズは戦えない。クリス・ポールとアンドリュー・ウィギンズを中心に、ルーキーながら39分プレーしたブランディン・ポジェムスキーの働きもあって接戦には持ち込んだが、ウルブズが104-101で勝利している。

試合後、マクダニエルズは「リバウンド争いから走り始めた時にユニフォームをつかまれて、それに抵抗したんだ。熱くなっては互いに言い返していたけど、深刻なものじゃなかった」と乱闘の発端を説明し、「グリーンについては何が起きたかもよく分かっていなかった。ロッカールームに戻ってSNSを見て知ったぐらいだ」と続ける。

ゴベアにグリーンを許すつもりはなかった。グリーンの行為を「くだらない振る舞い」と呼び、「ステフがいない試合ではプレーしたくないんだ。だから退場するためなら何でもする」と言う。

ウルブズのベテラン、マイク・コンリーは「最初にあんな出来事があって、終始チグハグな試合になった。でも残された選手でボールをプッシュしてテンポを上げ、一生懸命に戦ったという意味では面白い試合だったかもしれない」と言う。「これまでも何度か乱闘は経験しているけど、開始2分というのは初めてだ。みんな審判に腹を立てていたけど、イライラしても意味がないのは分かっていたし、試合が進むにつれて落ち着くことができた。精神的な問題をみんなで克服して勝てたのは良かったよ」

だが、負けたウォリアーズは収まらない。指揮官スティーブ・カーは不機嫌そうに「クレイの退場はあり得ない」と言う。「駆け上がろうとした彼のユニフォームを相手が引っ張った。馬鹿げた判定だよ。ゴベアにしても、クレイの首に手をかけているのが確認できる。だからドレイモンドは攻撃したんだ」

一方で、ダリオ・シャリッチは落ち着いて「こういう場合、みんな仲間を守ろうとする。乱闘が良いものだとは言わないが、僕らにとっては当然の行動だ」と話す。「僕たちは負けた。これがバスケットボールだ。次の試合でチームでもっと結束して、もっと良いプレーをする。そのことに集中したい」

しかし、余波はしばらく続くだろう。グリーンにはフレグラント2が宣告されており、これまでも何度もトラブルを起こしてきたことを踏まえると、リーグから追加の処分が科せられる可能性が高い。カリーのケガが軽傷で済んだのはウォリアーズにとって朗報だったが、それを帳消しにして余りある乱闘劇となってしまった。