アレン・ダーラム

西地区のライバル、大阪に快勝で前日に敗れたリベンジを果たす

琉球ゴールデンキングスが11月5日、アウェーで大阪エヴェッサと対戦。アレン・ダーラム、ジャック・クーリーによるパワー満点のインサイドアタックで主導権を握り、攻守で圧倒し94-76で快勝した。これで前日に76-81で敗れたリベンジを果たした琉球は8勝3敗、大阪は9勝2敗となっている。

この試合、琉球は立ち上がりからダーラム、岸本隆一、今村佳太らが積極的にドライブを仕掛け、相手ディフェンスを収縮させるとボールがよく動くオフェンスを展開。特にダーラム、クーリーがゴール下を支配して、確実に決め切ることで29−20と先制パンチに成功する。

第2クォーター序盤、琉球はハンドラーが大阪のプレッシャーに苦しんでミスが増えてしまう。しかし、今村が連続で3ポイントシュートを決めるエースの本領発揮で流れを引き寄せる。さらに琉球はチームオフェンスでズレを作りだすと、このクォーターだけで8得点を挙げた小野寺祥太を筆頭にオープンをしっかり決め切る。また、激しさと粘り強さを兼ね備えた持ち味の堅守も光ることで突き放し、前半で17点の大量リードを奪った。

後半の立ち上がり、大阪に連続得点を許してしまうが、この試合で16得点の今村がタフショットを決めて悪い流れを断ち切ると、その後は大阪に付け入る隙を与えずに楽々と逃げ切った。

琉球の桶谷大ヘッドコーチはこのように勝因を語る。「昨日はオーバーヘルプに行きすぎた結果、3ポイントシュートを簡単に打たれてしまいました(22本中12本成功)。今日はよく我慢して、打たれた本数は14本、決められた数も3本に抑えられました。これがペースの速い大阪さんをこれだけの失点に抑えられた要因だと思います。ディフェンスをしっかりやることで、オフェンスも良い流れでできました」

指揮官は「今日はみんなが意地を見せてくれたと思います」と称えるとともに、「ダーラムが躍動してくれました」と言及。この試合、ダーラムはフィールドゴール16本中12本成功の27得点5アシストと爆発した。

オフェンス面での活躍が光ったが、桶谷ヘッドコーチは「ディフェンスで大阪さんの一番の武器だと思う(アンジェロ)カロイアロ選手をしっかり抑えてくれました。ハーフコートはほぼ完璧だったと思います」と、守備面でのインパクトについて真っ先に語っている。

さらに指揮官は、「第1クォーターでカロイアロ選手がファウルを1つしました。そこから狙われると、逆の立場だったら僕らもキツイです。それで、どんどん狙っていこうという共通認識がありました」とダーラムが、カロイアロとのマッチアップでアタックを徹底した理由を明かす。攻守両面で、ダーラムは大阪のキーマンにプレッシャーを与え続けたのだ。

アレン・ダーラム

「日曜日にやり返すのではなく、土曜日もしっかりプレーし週末を連勝で終えていきたい」

ダーラム本人は、「昨日、僕たちのベストゲームではなかったです。アグレッシブさを欠き、ミスを減らすことができませんでした。それを修正できたことが勝てた要因です」と試合を振り返る。

また、自身のパフォーマンスについては「良いパフォーマンスができました」と笑顔を見せた。「昨日はチームを勝利に導くのに十分なプレーはできなかったです。だからこそ、今日は勝つために必要なプレーをしたい、というマインドセットで臨みました。それがスタッツにも繋がったと思います」

琉球はダーラムを軸とした攻めを繰り返した。それは彼のシュートタッチが良かったことに加え、膝の負傷で出遅れ、今日がシーズン4試合目の出場となったクーリーを初めて先発起用したことも影響している。クーリーと一緒にプレーするのは3シーズン目でダーラムは抜群の連携を取れる。さらにクーリーがいることで、ダーラムはフィジカルで優位に立てる4番ポジションでマッチアップすることができ、そのアドバンテージを存分に生かした。

また、桶谷ヘッドコーチは「ジャックありきのキングスであることは間違いないです」と、クーリーがもたらす様々なプラス効果を語る。「アレックスが悪いということはでないです。ただ、ジャックはリバウンドが強烈で、ディフェンスで身体をしっかり張れる。それでダーラムの負担を軽減できます。そして、オフェンスではジャックのアタックが強烈なので、相手は(ダーラムに対して)簡単にスイッチで守ることはできないです」

琉球が連戦の初戦を落とした後、第2戦で序盤から主導権を握って快勝したのは10月21日(66-89)と22日(88-70)の横浜ビー・コルセアーズ戦に続いてとなる。今シーズンに限らずだが、同一カードで連敗をしないのは琉球が常勝チームである大きな要素だ。

この点についてダーラムはチームの修正能力に自信を見せるが、同時に初戦から質の高いパフォーマンスを見せたいと気を引き締める。「試合に負けた後はより次の試合で勝たなければいけないと思います。そして、修正すべき点にフォーカスすることが勝利の助けになりました。ただ、日曜日にやり返すのではなく、土曜日もしっかりプレーし週末を連勝で終えていきたいです」

現在の琉球は東アジアスーパーリーグ(EASL)の影響で、週3日の試合が続いている。特に今週は水曜日に韓国で試合を行い、そのまま大阪に移動している。さらに8日には、京都でアウェーゲームと、過密日程かつホームに帰れていない。このようにコンディションを維持するのが難しい中でも、35歳のダーラムは強度の高いエナジー溢れるプレーを継続している。その秘訣を聞くと、「特に何か特別なことはしないです。いかにベストな状態で臨めるかを心がけています」と語るのみだ。

相棒のクーリーが復帰したことで『ハルク』の愛称が示すダーラムの破壊力もより増している。過酷なスケジュールに加え、ベストメンバーで戦えていない中でも、琉球は着実にチーム力を高めている。