キャム・トーマス&ベン・シモンズ

それぞれの『明確な弱点』をカバーして強みに変える

接戦を落とし苦しい連敗スタートとなったネッツですが、3年目のキャム・トーマスが開幕戦の36得点に続いて2戦目も30得点とスコアラーとして結果を残し、ベン・シモンズは2試合で平均10.0リバウンド、8.5アシストと復活を感じさせるプレーを見せています。

トーマスとシモンズの2人は、お互いに足りない部分を補うコンビとなっています。シモンズにとって2021-22シーズンの全休は主にメンタルの問題でしたが、昨シーズンは復帰したものの腰の状態が悪いままプレーを続け、スピードも運動量も、何よりもフィジカルが本来のレベルに達していませんでした。

コンタクトプレーを避けるようではシモンズの持ち味は出てきません。それでも今オフはワールドカップに出場せず、トレーニングに専念。その効果は開幕2試合ではっきり出ています。

強引なドライブからディフェンダーを吹っ飛ばすシーンもあれば、オフェンスリバウンドを奪い取るシーンもあり、何より得意のハンドオフからスクリーナーになってシューターをフリーにするプレーを連発しています。フィジカルコンタクトで勝てる自信があるからこそのプレーチョイスが戻ってきました。

そのハンドオフを受け取って高確率でシュートを決め続けているのがトーマスです。トーマスは爆発的な得点力を持つ一方でプレー判断が悪いという弱点を抱えており、得点能力は高くてもドライブを狙うべきスペースの判断も悪ければ、周囲が見えていないパス判断の悪さは致命的でした。

しかし、ドリブルでディフェンスを動かしてスペースを作るハンドオフと、スクリーンでマークを剥がしてくれるシモンズのお膳立てがあることで使うべきスペースが明確になり、トーマスは強気にフィニッシュに行ける状況が出来上がっています。

復調していてもいまだに自ら得点を取りにいく意識が低いシモンズと、判断力が低くてワンマンプレーに陥りがちなトーマス。いずれも明確な弱点があるものの、これがコンビになると『シュートチャンスを作るシモンズとフィニッシュ力のあるトーマス』として、弱みよりも強みが目立つようになっています。コンビとしてはプレーパターンがまだ少ないという課題はありますが、開幕からの2試合でネッツのメインウェポンになる可能性を大いに感じさせています。

一方でキャバリアーズとの試合では残り13秒でドノバン・ミッチェルに、マーベリックス戦は残り27秒でルカ・ドンチッチに、それぞれゲームウイナーとなる3ポイントシュートを決められ、スーパースターの勝負強さに屈した開幕2試合でもありました。

ともに接戦で迎えたクラッチタイムでしたが、ネッツのオフェンス自体がシモンズとトーマスのコンビプレーを選んでおらず、まだまだチームの武器として信頼を得たわけではありません。長いシーズンを通してコンビプレーに磨きをかけ、1試合ずつ、ワンプレーずつ、結果で示していきたいところです。