バリシエ・ミチッチ

「僕はNBAにただ在籍するために来たわけではない

バスケットボール界でNBAに次ぐ競争力を持った大会と言えるのは、ヨーロッパのトップクラブが集結して戦うユーロリーグだ。とはいえ、NBAとユーロリーグは実力差に加えルールも違うため、欧州の舞台で大暴れした選手がNBAでも活躍する例は稀だ。

今シーズンは欧州バスケ界を代表する2人の選手がNBAに挑戦する。昨シーズンのユーローリーグMVPであるサーシャ・べゼンコフ(キングス)と、2021-22シーズンのユーロリーグMVPとなったバシリエ・ミチッチ(サンダー)だ。

2020-21、21-22シーズンと2年連続でユーロリーグのファイナル4MVPも受賞している29歳のミチッチは、セルビア出身の196cmのコンボガード。ここまで出場したプレシーズン3試合は得点面ではインパクトを残せていないが、現地15日のホーネッツ戦では26分出場で8アシスト、17日のバックス戦では15分出場で7アシストと、チャンスメークの部分で存在感を発揮している。

ミチッチは、次のようにNBAとヨーロッパバスケのスタイルの違いを語っている。「ユーロリーグに比べるとかなり試合のペースが早く、よりスペースがある。また、ゴール下がよりオープンになっている。だからクリエイティブな選手、特に優れたボールハンドラーはアドバンテージを生み出す機会がたくさんある」

ヨーロッパでは圧倒的な結果を残してきたミチッチだが、それがNBAでのプレータイムを保証するものではないことを承知している。その上で「僕はNBAにただ在籍するために来たわけではない。このメンバーと一緒にプレーできる実力を持っているのなら、チャンスをつかみたい」と意気込みを語る。

そして自身が求める出場機会をつかむためには、何よりもチームに早く溶け込むことが重要だと考えている。「まだアジャストしている段階ですべてが新しい。ただ、チームメイトが助けてくれるので、かなりスムーズに学ぶことができている。チームが一つになることで、僕たちは良いところまで行けると思う」

29歳でのNBA挑戦は、タイミングとして明らかに遅い。そして、NBAのスタイルやサンダーの戦術への適応など、乗り越えるべきハードルがいろいろとあることを承知している。その上でミチッチは「僕にもチャンスはある」と語る。彼がユーロリーグやセルビア代表で見せていたプレーをNBAでも披露できた時、サンダーはより楽しみなチームとなる。