激動の昨シーズンから、希望の今シーズンへ
今年のオフシーズン、最も移籍市場をにぎわせたチームの一つはサンロッカーズ渋谷であろう。2022-23シーズンを19試合消化した時点で、伊佐勉ヘッドコーチとジェームズ・アンドリセヴィッチアシスタントコーチが相次いで退団。浜中謙アシスタントコーチがヘッドコーチ代行として残り41試合の指揮を執り続けるというシーズンを送ったSR渋谷は、今オフに大きな補強と改革を行った。注目はアルバルク東京の指揮官としてBリーグ2連覇を達成したルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチを招聘したこと。さらに、パヴィチェヴィッチヘッドコーチのバスケットボールを誰よりも知る元日本代表の田中大貴、昨年のユーロカップで12.0得点、4.1アシストのアベレージを残したポイントガードのアンソニー・クレモンズ、ワールドカップでの大活躍が記憶に新しい帰化選手のジョシュ・ホーキンソンら多くの即戦力を加えた。
パヴィチェヴィッチヘッドコーチがまず着手すると思われるのは、ディフェンシブレーティング(100回攻撃された場合の平均失点)リーグワースト5位と低迷したディフェンスの改善。具体的には、リーグワースト6位となっているペイントエリアでの失点割合とフリースローによる失点割合、そしてリーグワーストの被2ポイント決定率からも分かるように、ペイントエリアでの失点だ。ここは帰化選手のホーキンソンおよび日本人ビッグマンの永吉佑也の獲得によって優位が取れると予想され、ピック&ロールをパヴィチェヴィッチヘッドコーチが得意とするドロップディフェンス(ビッグマンが下がってペイントエリアを守るディフェンス)で守ることで改善できるだろう。A東京時代にリーグトップ5のディフェンシブレーティングチームを作り上げたパヴィチェヴィッチヘッドコーチの手腕が問われるシーズンになるだろう。
スターター級の戦力を豊富に備えるSR渋谷は、調子の良い選手をスタートに据えるという戦略を取れることが強みになるだろう。仮にロスターが昨シーズンと同様の活躍をしたと仮定した場合、3ポイント試投割合が36.0%と大きく上昇することが予測できる。4アウトのスペーシングを使い、突破力のあるクレモンズとインサイドでの得点力が高いジェームズ・マカドゥとのピック&ロールから、外で待つシューターを生かす戦略を取ることになりそうだ。
所属選手一覧
『FP(ファンタジーポイント)最多日本人選手』
※FP(ファンタジーポイント)は、選手の活躍度合を計る指標となるポイント。各選手が実際の試合で記録した成績に応じて算出される。
ベンドラメ礼生
昨シーズンは2016-17シーズン以来の平均1ケタ得点に終わった。2ポイントシュート、3ポイントシュートともにショットアテンプトと決定率が減少した苦しいシーズンであったが、アシストはキャリアハイを記録している。パヴィチェヴィッチHCはかつてミドルレンジを活用する戦略を取っていたため、ネイル(フリースローラインの真ん中)付近でのシュート決定率で85%を誇るベンドラメが求められるシチュエーションも多いだろう。
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【注目選手】
ジョシュ・ホーキンソン
ワールドカップでの日本代表の救世主となった、『笑顔が素敵なみんなの鷹ちゃん』ことホーキンソン。昨シーズンは平均18.2得点、7.5リバウンド、2ポイント成功率49.5%、3ポイント成功率37.7%、得点期待値(その選手で攻撃が終わった場合の平均得点)1.16と様々なスタッツでチームトップに輝いた。ピック&ロールとピック&ポップのどちらでも得点を取ることができ、トランジションも速く、バスケットIQも高い。私が個人的に計測しているPER値(出場1分あたりのプレー効率性)ランキングではリーグ28位と高い効率性を誇っている。日本でプロキャリアをスタートさせ、日本代表としてワールドカップで活躍したホーキンソンは、外国籍選手のロールモデルとしても貴重な選手だ。
アンソニー・クレモンズ
トルコ1部リーグでプレーした昨シーズンは、平均11.4得点、2ポイント成功率49.5%、3ポイント成功率37.7%を記録。強烈なドリブル突破力と、ペイントエリアでの高い得点能力を誇るポイントガードだ。ピック&ロールでは、自身のマークマンを背中で抑えつつ、状況を判断しながら攻撃することができる。スペースさえ取れば、1対1の状況でもディフェンスを2人引きつけることができ、苦しい場面を任せられるショットクリエイターだ。