「自分たちで壊したような試合」と情けない試合を悔やむ
天皇杯が千葉ジェッツの優勝で幕を閉じたばかりだが、今日からBリーグが再開する。ファイナルラウンドに駒を進められなかった10チームにとっては、久々に得られたまとまった練習期間であり、シーズン後半戦に向けて立て直す機会となった。ファイナルラウンドに進出して、さいたまスーパーアリーナのコートに立ったチームも同様で、天皇杯で得たものをリーグ後半戦にどう生かすか、チームとしての積み上げが求められる。
大阪エヴェッサは今日、京都ハンナリーズをホームで迎え撃つ。奇しくも天皇杯のベスト8で対戦し、51-69と大敗した相手だ。10日の準々決勝に敗れた直後、「ここから何を学んで、何ができるかなので。ホームゲームですし、こんな情けない試合してたらいけないです。絶対にリベンジしないと」と今野翔太は語っており、並々ならぬ思いでこの日を迎える。
大阪から埼玉まで応援に駆け付けたファンの前で、外角のシュートに当たりが来ずに大敗。「自分たちで壊したような試合でした。めちゃくちゃ情けないです。応援してるお客さんに対して、マジで情けない試合をしました」と今野は下を向いた。
大阪は現在、14勝17敗。黒星が先行しているが、栃木ブレックスや琉球ゴールデンキングスに勝利するなど、エグゼビア・ギブソンとジョシュ・ハレルソンの強力外国籍コンビが力を発揮し、チームとして噛み合った時のポテンシャルの高さは証明できている。だが天皇杯の京都戦では、ギブソンとハレルソンが抑え込まれると、日本人選手の得点力不足を露呈。わすか51得点しか奪えなかった。
ディフェンスに定評のある今野だが、「僕もディフェンスだけしてるわけにはいかない」と話すように、少ないチャンスをモノにして8得点を挙げた。だが2桁得点がチームに2人しかいないようでは、やはり勝つのは難しい。「特に日本人はもっと点を取らなあかんです」と、今野も日本人選手の奮闘が必要と言う。
「エックス(ギブソン)なんて足の状態もそんな良くないし、調子の悪い日もある。もうちょっと『僕が僕が』って、なっていいんじゃないかなと思います。悪いほうになったらあかんけど、ポジティブに攻め気の姿勢を出していかないと、やっぱり弱気ですね」
「下がもっとリーダーシップを発揮しないといけない」
大量リードを許しても、今野は度々チームメートを手招きしてはハドルを組み、どうにか立て直そうとしていた。「まだまだ若い、で片づけたらあかんけど、どうしてもブレちゃうチームなので。冷静になったときに立て直す力がなかったです」と、歯車が噛み合うことはなかった。
いわゆるベテランであれば、そうした我慢の時間帯に耐える術を知っている。だが頼りになる、ベテランの木下博之が離脱している状況で、チームを落ち着かせることができなかった。そして、今野は「強いチームは誰でもやるし、僕らも乗ってる時はやるんですけど、劣勢の時に自信を持って発する選手が少ない」と、リーダーシップを発揮し、自らハドルを組む人間が出てこないことに危機感を覚えているという。
また今野は、そうした原因の一つに、日本人特有のメンタルが起因していると持論を展開する。「日本の文化ですかね、自分が悪い時にチームに対して強い言葉を発することができない。みんなに人のことを言えない、みたいなスタイルが見受けられます」
今野が指摘するように、自分のことを棚に上げて人に注意することは、得てして日本人にとって難しい作業かもしれない。だが、一つのミスに気持ちを引きずられていては、勝負の世界でやっていけず、「オフェンスがあかんくても、ディフェンスしようとしたらええやんと思うし、もっと発言するべきやと思う」と今野は気持ちを切り替えることが重要と言う。
またこうした今野の発言は、目の前の1試合、1シーズンだけを見ているのではなく、中長期的に大阪エヴェッサというクラブが発展することを願っているからこその言葉だ。
「僕は大阪が長いし、いろんなものを見てきています。伝統あるチームになるためには、やっぱり下がもっとリーダーシップを発揮してやらないといけないし、それが今できないのは上のせいです。もっとハドルを組んだり、ロッカールームで発言したりすることをしていかないといけないかなと思います。もちろん結果は大事やけど、今期、来期、そのまた次って目指していくためには、根付かせないといけない」
天皇杯では情けない敗戦を喫したかもしれないが、これが大阪を変える一つの起爆剤になればいい。それを実現するためにも、今日の試合には絶対に負けられない。
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