ルカ・ドンチッチ

「みんな100%の力を発揮した。だから顔を上げて去るよ」

ルカ・ドンチッチの退場でスロベニア代表の勝利はなくなった。

第4クォーター残り7分、カナダのディロン・ブルックスは軽やかなタッチで3ポイントシュートを決め、目の前にいた相手選手を侮辱する言葉を吐いて2度目のテクニカルファウルで退場に。NBAでも『悪役』で知られるブルックスはタフなディフェンダーで、ドンチッチを徹底的にマークし、フラストレーションを与えていた。

この時点で76-92とスロベニアは劣勢だったが、ドンチッチを抑えるキーマンが不在となれば試合の流れは一変するはずだった。ところがその直後、ブルックスに代わってマークに付いたルグエンツ・ドートのフィジカルなディフェンスにファウルがコールされず、フロアに倒れたドンチッチはカッとなって審判に暴言を吐く。即座にテクニカルファウルがコールされ、ドンチッチも退場となった。

ブルックスは替えが効くが、ドンチッチはそうではない。スロベニアの残る選手たちは奮起して点差を1桁に縮めたが、反撃もそこまで。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーが36得点、RJ・バレットが24得点で牽引するカナダは止まらず、100-89で勝利を収めた。

これでカナダはワールドカップで初のベスト4進出。一方でスロベニアは順位決定戦に回ることになり、同時にパリオリンピックに出場するには世界最終予選を勝ち抜かなければならなくなった。

ドンチッチは26得点。フィールドゴール14本中4本成功と確率が悪かったのは、ブルックスが仕掛けるフィジカルかつ執拗なディフェンスが効いたからだ。「僕が何にイライラしてたかは分かるだろう?」と、試合後の会見でドンチッチは言う。

「代表チームでのプレーはたくさんの感情を伴うし、自分自身をコントロールできないことも多い。文句ばかり言っているけど、あれだけフィジカルにやられてファウルにならないのはフェアじゃないよね。でもその一方で、ディロンのプレーが素晴らしかったとも思う。彼を嫌う人も多いけど、僕は彼のプレーをリスペクトしている」

スロベニアの指揮官、アレクサンダー・セクリッチは次のような言葉でドンチッチを擁護した。「試合を通じてずっと打撃を食らい続けて感情をコントロールするのは難しい。イライラするし、疲労もする。それで感情を爆発させてしまうのは良くないと分かっているんだが、本当に難しいことも理解してほしい」

「それはルカがいかに素晴らしい選手かを示している。ファウルすれすれのプレーでしか止められないことを意味するからね」

ドンチッチは感情を抑えきれずに退場となったが、試合後はグッドルーザーとして「カナダにおめでとうと言いたい。フィジカルで素晴らしいプレーをするし、世界トップクラスの選手を擁している」と落ち着いた表情で語った。そしてこう続けた。「僕はチームを誇りに思う。みんな100%の力を発揮した。だから顔を上げて去るよ」