「スティールやリバウンドが取れたことで、自然とエネルギーも出ました」
バスケットボール男子日本代表はベネズエラ代表との順位決定戦を77-86で制し、パリ五輪出場権獲得へ大きく前進した。
だが、この試合は最終クォーター序盤に15点のビハインドを背負ったように、終始劣勢を強いられた。先発を務めた馬場雄大は持ち味を生かそうとドライブでペイントに侵入するも、ボールを奪われて速攻を許し、オープンの3ポイントシュートを決め切ることができず精彩を欠いた。また、得意の速攻のシーンではフィニッシュを決め切れず、さらには右肩を負傷し、ベンチを後にした。
馬場はパフォーマンスが上がらずにいた前半をこのように振り返った。「正直、自分のプレーじゃなかったと思っていますし、自分でもよく気持ちで耐えたと思います。あそこまで行くと、ばーっと悪い自分になってしまうケースもあったんですけど、得点ではなくディフェンスやリバウンドなど、貢献できるところをやろうと思ってプレーしていました」
馬場はスクリーンアウトや球際の争いなど、泥臭い部分で身体を張り続けた。そして、その献身性が自身のパフォーマンスを向上させていく。集中力が増したディフェンスでスティールを量産し、ボールプッシュやフィニッシャーになるなど、トランジションバスケの中心を担った。馬場の復調は後の逆転劇のプロローグとなった。
「やっぱりポゼッションを増やすことが勝利に向けて大事なので、意識しました。スティールやリバウンドが取れたことで、自然とエネルギーも出ました。 そういった意味で、戻ってくることができて良かったと思います」
得点は5に留まったが、2リバウンド3アシスト3スティールとマルチに活躍。出場時の得失点差を示す数値はゲームハイの+24を記録した。第4クォーターだけで17得点を挙げた比江島慎がオフェンスの主役となり、激しいプレッシャーディフェンスでベネズエラのオフェンスを停滞させた河村勇輝が守りの主役となった。それでも、それぞれの選手の繋ぎがあったからこそ、今回の逆転勝利は生まれたと馬場は言う。
「最後まで食らいついていく中で渡邊(雄太)選手やジョシュ(ホーキンソン)選手の頑張りだったり、勇輝のゲーム運びだったり、みんなそれぞれが輝いていたように感じました。僕もエネルギーという意味では、少し与えることができたと思うんですけど、そういう思いをさせてくれたみんなに感謝です。僕たちの方が勝ちたい思いが強かったので、勝てたと思っています」
いよいよ本日、ワールドカップ最終戦となるカーボベルデ戦を迎える。勝利すれば、その時点でパリ五輪出場権の獲得が決まる。馬場は運命の一戦に向け、力強くこう語った。「ここまで本当に長かったです。ラスト1試合に集中して、最高の仲間と、最高のサポーターたちと、最高の雰囲気で、パリを自力で決めたいと思います」