富樫勇樹

「自分を含めた他の選手が、もっと点数、リバウンドに絡まなくてはいけない」

FIBAワールドカップ2023、日本代表はグループリーグ初戦ドイツに63-81と大敗を喫した。日本代表は生命線である3ポイントシュートが35本中6本成功と不発に終わったことで得点が全く伸びず。渡邊雄太が20得点、馬場雄大が15得点、ジョシュ・ホーキンソンが9得点とチームを牽引したが、一方で強化試合ではオフェンスを引っ張っていたガード陣が沈黙してしまったのが痛かった。

キャプテンを務める富樫勇輝も本領を発揮できなかったうちの1人。19分40秒のプレータイムで3アシストを挙げたが、5本のフィールドゴールすべてを失敗し、無得点に終わった。富樫は22点の大量ビハインドを背負った前半のパフォーマンスをこのように悔いた。「試合の出だしで高さにやられてしまいました。そしてオープンな3ポイントシュートなど、決めないといけないシュートを落とすことで点差が開いてしまいました。特に反省点の大きい前半だったと思います」

そして、シュート本数自体も少なかった自身のプレーをこう振り返る。「もっと自分でシュートを打てれば良かったですが、無理に打たなくてもいいと思っていました。相手が3ポイントを警戒しているのは感じていましたが、ドライブからのパスを受けて雄太、ジョシュが何本かオープンでシュートを打てました。それは自分がやりたいと考えているところです」

点差が何よりも示すように、ドイツの強力なインサイドアタックを全く止められないなど多くの課題は見えたが、「自分たちのバスケットをもっと出す事ができれば、違う結果になった可能性も見える試合でした」と言い、確かな手応えもあった。

そして「雄太の3ポイントシュートはチームとして一番やりたいところで、それはできたと思っています。他に馬場選手のカッティングも良かっです。良いところはありました」と収穫を語ったが、自身も含めてチーム全体でステップアップする必要があると続けた。「2人だけでは足りないです。自分を含めた他の選手がもっと点数、リバウンドに絡まなくてはいけないです」

富樫勇樹

「あれだけのタレントがいるチームなので、ドイツが強いことは想定していました」

序盤からドイツに2桁のリードを許し、日本は大きな見せ場を作ることなく大差で敗れた。ただ、オープンシュートの機会は作れており、「オフェンス、ディフェンス共に連携が取れて素晴らしいチームだとは感じました」とドイツに最大限の敬意を払いつつも、富樫は点差ほどの差を感じることはなかったと言う。

「まったく歯が立たないかと言われたら、そうではない気がします。1本、ここで入れば試合の流れが変わるというシュートはいくつかあったと思います。その1本を決めるチームになっていかないといけないです」

シュートは水物であり、入らない時はいかに守備で我慢できるかが大事となる。ただ、今回の日本代表のスタイルは良いシュートでオフェンスを終えることで、守備にリズムをもたらしそうとしている。持ち味の前から当たる激しいディフェンスも、自分たちがシュートを決めて相手がエンドラインからボールを入れる状況を作り出さないと機能するのが難しい。

「シュートは入る時、入らない時があります。相手のディフェンスなどもあり、そう簡単にいく訳ではないことは分かっています。とはいえ、決めなくては勝てません。それだけだと思うので、シュートを決めてリズムを作り、ディフェンスでプレッシャーをかける良い流れを作っていきたいです」

アメリカに次ぐパワーランキング2位のドイツが一筋縄ではいかないチームなのは分かっている。富樫も「あれだけのタレントがいるチームなので、ドイツが強いことは想定していました」と言うが、「ただ、どちらかというと自分たちのバスケができなかったことが大きかったと思います」と、不完全燃焼であったことを明かした。

日本の次戦は明日のフィンランド戦で、2次ラウンド進出のためには絶対に負けられない。ドイツ戦で垣間見えた日本の可能性を最大限に発揮することが勝利には不可欠であり、何よりも後半に見せたプレーを続けることが大事と富樫も強調する。

「自分たちから仕掛けるチームでありたいとずっと言っていましたが、そこができていない部分があります。後半に行った守備の仕掛けを点数が離れてからするのではなく、出だしからしていく必要があります」

自分たちのバスケットボールを展開するため、今の日本代表に何よりも求められるのは決めるべきシュートをしっかり決めることだ。そして高い得点力を誇る富樫は、その役割を担うことができる。フィンランド戦の勝利には、スコアリングガードとして覚醒する富樫が必要となってくる。