ペイントを支配し、富樫のハイピックを演出して攻守に貢献
今年のオールジャパン、一番の旋風を巻き起こしているのが千葉ジェッツだ。ベスト8で栃木ブレックスに81-62と圧倒すると、ベスト4でもシーホース三河を81-75で撃破。三河戦では第3クォーター終了時点で18点の大差をつけたが、スコア以上に危なげない展開だった。
これで昨年の準優勝(栃木)、優勝(三河)チームを連続で撃破した千葉だが、この躍進を支えているのは第一に堅守だろう。栃木、三河ともにリーグで1、2を争う強力インサイド陣を有しているが、2試合とも千葉はゴール下で相手に主導権を与えなかった。これが栃木戦、三河戦とも第1から第3クォーターはともに20失点以下に抑え込むことにつながった。
特に三河戦では、ベスト8の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で揃って2桁得点を記録し、計41点を挙げたアイバック・バッツ、ギャビン・エドワーズ、桜木ジェイアールの相手ビッグマントリオを26得点に抑えた。これは個々の選手がハードワークを見せたチームディフェンスが機能したからこそだが、その中でもセンターのヒルトン・アームストロングの奮闘は目立っていた。
豪快なブロックといった派手なプレーは少ないが、持ち味である粘り強いマークと的確なポジション取りで、今日も相手ビッグマンに大きな仕事をさせなかった。8得点8リバウンド2ブロックの数字以上のインパクトを与えた。大野篤史ヘッドコーチも、「アームストロングのディフェンスマインドはとても評価しています。そして富樫のハイピックは、彼のスクリーンがあってこそ。今日はとても良かったです」と、攻守における献身的なプレーを称えた。
決勝戦を控え「自分たちのやるべきことに集中するだけ」
アームストロングは今日の勝因を「ディフェンスだ」と語る。「とてもアグレッシブな守備ができたことで、相手に気分良くプレーさせなかった。チーム全体でリバウンドを取れたことが大きかった。チーム一体となってプレーできた。みんなアシストをし、シュートを決めていたね。ただ、一番大きかったのはディフェンスとリバウンドだ」
オールジャパンにおけるここまでの見事な内容を、アームストロングはこう見ている。「レギュラーシーズンと今大会のパフォーマンスは大きく違っている。今は良いリズムで、より集中してプレーできている。これは今までの積み重ねによって、お互いをより理解できてきたからだ」
決勝の相手は、12月30日と31日にホームで対戦して連敗を喫している川崎ブレイブサンダース。「決勝では、ここ2試合と同じようなプレーをすることだ。オフェンスについて心配することはない。多くのスコアラーがチームにはいるので、誰かが調子が悪くても他の選手がカバーしてくれる。ディフェンスとリバウンドにしっかり集中することだ。それができれば、試合を優位に進められる」と、栃木戦や三河戦と同じく序盤から守備でいかにしっかりリズムを作れるかを鍵に挙げる。
川崎最大の得点源でマッチアップすることになるニック・ファジーカス対策については、「アグレッシブに守り、彼を自由にさせない。フラストレーションを与え、シュートの時はしっかりプレッシャーをかけ続けること」と続ける。
そして最後に「コーチのゲームプランを確実に遂行する。自分たちのやるべきことに集中するだけだ」と強調したアームストロング。まさに千葉の屋台骨となっている彼が、三河戦と同じく黙々と自らの仕事をこなし続けていくことができるかどうか。千葉の明暗を分ける大きな要素になってくる。