2011年に独立国として認められ、初の国際試合から6年でワールドカップへ
南スーダンは2011年に国連から独立国として承認されたばかりで、当然バスケットボールの歴史も浅く、元NBAプレーヤーのルオル・デンがバスケットボール連盟の会長として、そして時にはヘッドコーチとして代表チームを整備してきました。その甲斐あって、2017年に初めて国際試合を行ってからわずか6年で世界最高の舞台、ワールドカップへとたどり着きました。
練習場所すらまともに用意できない状況がありながらも、アフリカ予選は11勝1敗と好成績で突破しています。しかも、アフリカらしい手足の長さ、身体能力を備えながらも、規律の取れたチーム戦術を実行しており、攻守において一つの動きにチーム全体が連動し、細かいポジショニングやスペーシング、攻守の切り替えの早さなど、個人能力よりも組織としての連動性が際立つ戦いぶりでした。
予選でチームハイの15.1得点を記録したニュニ・オモットはケニアの難民キャンプで生まれ、アメリカの高校でプレーした経歴を持ちます。各選手の出自は様々ですが、プレータイムもシュートアテンプトもシェアされた戦い方で、チームに一体感があります。突出したスタッツを残す選手はいなくても、現代的な戦術を遂行していることが強みになっていますが、ここに南スーダンにルーツを持つNBAプレーヤーのウェニェン・ゲイブリエルを加えることになり、最終的にどんなチームになって大会に臨むのか楽しみでもあります。
今大会はスピード溢れるアタックが特徴的なプエルトリコが初戦の相手で、続いてツインタワーの高さを生かしてくる中国、グループリーグ最終戦は華麗なパス回しを見せるセルビアと、3試合とも特徴の異なる相手が待ち受けます。相手に応じて戦い方をアジャストする必要があるのは世界大会ならではですが、南スーダンにとってはすべてが初めて経験する出来事であり、どのような結果が待っているのか想像もつきません。
国としての歴史も浅い南スーダンが迎える初めての国際舞台。すべてが新鮮で、すべてが歴史的な出来事になりますが、彼らが予選で見せたパフォーマンスを考えれば、アップセットを巻き起こす期待にも満ちています。