フィジカルなセンターとして、ルディ・ゴベアの穴を感じさせない活躍
ウォーカー・ケスラーはNBAデビューを待たずに2度のトレードでジャズへと移った。ティンバーウルブズがルディ・ゴベアを獲得したトレードで、その交換条件の長いリストの最後に記されていたのが彼の名前だった。1巡目22位でドラフトされたケスラーだが、フィジカルなセンターは今のNBAでは主流ではなく、大きな期待を寄せられていたわけではない。
それでも、序盤こそやや手間取ったがシーズンが進むにつれて調子を上げ、再建1年目のジャズの躍進に貢献し、1月のウルブズ戦ではルーキーとしてはNBAで史上9人目の20得点20リバウンドを記録。シーズンの最後にはオールルーキー・ファーストチームにも入った。
昨シーズンは9.2得点、8.4リバウンド、2.3ブロックを記録。だが、1月までは20.1分だったプレータイムが2月以降は28.6分まで伸び、2月以降のラスト25試合では平均12.0得点、10.5リバウンド、3.1ブロックとスタッツを伸ばした。シーズン後半の『平均ダブル・ダブル』は、どんな期待をも上回る成果だ。そしてスタッツ以上に、ディフェンシブ・オブ・ザ・イヤーの常連だったゴベアの穴を感じさせない力強いパフォーマンスはインパクトが大きく、今やジャズのファンでルディ・ゴベアの退団を嘆く者はほとんどいない。
それでも彼は謙虚さを忘れず、自分の成長にフォーカスしている。昨シーズンが終わった時点で「こうして結果を出せたのは素晴らしいことだけど、まだ第一歩を踏み出したにすぎない。毎日、自分のやることを見失わないようにして進んできたし、それを続けていきたい」と語っている。
そしてオフの課題として「フィジカルをもっと鍛えること、フリースローとピック&ロールの動き、ダンクに持ち込むまでの動きを向上させること」と語っていた。
そのオフは他の選手よりも短かった。アメリカ代表に招集され、ワールドカップを戦うからだ。アメリカ代表のトレーニングキャンプに現れた彼は、筋肉量が増して身体が大きくなっていた。『The Athletic』の取材にケスラーは「オフはずっと体重を増やし、体力をつけるために猛特訓していた。コート上で違いを見せるためだから、楽しんでやったよ。僕は自分の身体を鍛えるのが大好きだしね」と語る。
この2カ月でケスラーは7kgの体重アップに成功した。スキルがどれだけ向上したのかは、アメリカ代表でのプレーでこれから見せてくれるはずだ。
ケスラーは言う。「チームUSAの一員になれて本当にうれしいし、感謝しているし、興奮している。できる限り多くを学び、この経験を生かして、自分をあらゆる面で向上させたい。ラスベガスでのトレーニングキャンプも、ワールドカップも、次のシーズンも本当に楽しみなんだ」