2021-22シーズン、B1は宇都宮ブレックスが年間チャンピオンを獲得して幕を閉じた。シーズン終了後、チームを指揮していた安齋竜三が退団し、越谷アルファーズのアドバイザーに就任したという発表によってリーグに激震が走った。さらに1年のアドバイザーを経て、今オフにはヘッドコーチ兼アシスタントゼネラルマネジャーの就任が発表された。話題性に事欠かない安齋氏にアドバイザーとしての1年を振り返り、ヘッドコーチ兼アシスタントGMとして臨む新シーズンについて話を聞いた。

──選手の編成に関して、移籍してきた選手はいずれもB1経験者となりました。重要視したことがあれば教えてください。

ベテランで残る選手が多いので、若さというのは欲しいところはありましたね。育成をやっていくことも必要で、もちろん育成も考えていますが、良いカルチャーのチームでやってきた選手というのを大事にしました。笹倉(怜寿)に関してはまさにそれですね。レンタル移籍で仙台89ERS(当時B2)にいた時の実績や、アルバルク東京でやってるというのはカルチャー的にやっぱり強いというところがあります。井上(宗一郎)は日本代表では出番をもらえているけど、B1のリーグ戦だとプレータイムが短い状況でした。井上と面談した時に「僕の足りない部分って何ですかね?」という話になったので、私が映像を作って「これも成長が必要だね。あれももっとよくなれる部分だね」と改善点を挙げて、出番も今よりは増えるから責任を持って成長していこうという話をしました。特に僕は(竹内)公輔とずっと一緒にやっていたので、日本人ビッグマンの良さや大変さみたいなのは理解しています。公輔は遂行力がとても高い選手だったので、井上もゆくゆくはそういう風に育っていってほしいと思っているんですよね。

──喜多川修平選手とLJ・ピーク選手は宇都宮で安齋ヘッドコーチと一緒にやっていました。獲得の経緯を教えてください。

やっぱりブレックスで僕がずっと携わらせてもらっていたので、自分のやり方を分かっている選手や、自分と一緒にカルチャーを作ってきた選手が何人かいてくれるっていうのは相当大きいことだと思うんですよね。修平はその中でもベテランの役割を担ってくれました。ケガも乗り越えていますし、やはりやるべきことをちゃんとやる人間っていうところで他の選手に対しても良い影響しか与えないです。(菊地)祥平もいるので、若い選手たちもやっぱりそういう姿を見てやっていってほしいです。LJに関してもブレックスで一緒にやってたっていうのもありますし、ライアン(・ロシター)がブレックスを退団になり、帰化選手との関係で一年で退団になってしまったのですが、人間性もめちゃくちゃ良いですし、また一緒にやりたい思いがありました。「ちょっと痩せて来てくれよ」って話をしましたけど(笑)。獲得できて良かったです。4番もできる選手を取ろうと思った時もあったんですが、そうするとやっぱりそっちに頼ってしまい井上を取った意味がなくなってしまうので、LJが1番良いという判断になりました。

──コーチ陣に関しても町田洋介アシスタントコーチが宇都宮ブレックスから移籍してきましたが、喜多川選手と同様の考えでしょうか?

基本的にヘッドコーチをやる時に、分かっているアシスタントコーチがいてくれるというのは本当に大事なことで、その中でも町田はかなり関係性も深いです。何年も一緒にやってきましたし「もし来てくれたらうれしいなぁ」みたいな感じで声かけました。もちろんブレックスとの関係性もあるので、こちらの気持ちだけで押し通すわけにはいかないので、ブレックスにもちゃんと断りを入れて「声かけさせてもらいます」という話はしました。そこは1番重要なポイントでしたね。ヘッドコーチをやる上では、修平とかLJとかももちろんそうなんですけどコーチングスタッフにも分かってくれている人間がいてくれるというのはかなり大きいことなので、ありがたかったです。

──新シーズンに向けて目標はどのように設定していますか?

もちろん目標としてB2で勝つとかB1昇格というのはありますが、それはチームを作っていった先に見えてくれば、みたいな感じではあります。基本はもっとお客さんがたくさん来てくれるクラブにしたいというのが僕の中で1番強い目標になります。どういうチームを作ればお客さんが入ってくれるかはブレックスでの15年の経験で感じている部分もありますし、そういうチームを作っていけば最終的にそこ(B1昇格)にたどり着くであろうという風に思っています。今は本当にホームゲームを満員に近いような状態に近づけていきたいというのが僕の目標です。そのためにどういうバスケットをやるのかを考えていますね。面白いバスケをやらなきゃいけないし、ディフェンシブなだけでなく、もっとオフェンシブなものを作っていった方がいいのかとか。応援して良かったと思ってもらえるチームを目指して成長していけるかどうかというシーズンにしていきたいです。

──最後に応援してくれている方へのメッセージをお願いします。

これからB2からB1を目指していきますが、応援して良かったと思ってもらえるようなチームを作っていきます。そのために一人ひとりが責任を持ち、一つの目標に同じ方向を向いて成長していく組織になります。そうすればみなさんにも応援したいと思ってもらえるチームになると思うので、ぜひ会場に足を運んでいただいて、一緒に戦ってもらって、まずはB1昇格という目標を一緒に達成できたらなと思っています。