文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦、秋田ノーザンハピネッツ

PROFILE 田口成浩(たぐち・しげひろ)
1990年3月25日生まれ、秋田県出身のシューティングガード。精度の高いシュートが武器で、2015-16シーズンのbjリーグではフリースロー成功率90.1%で3位にランクインした。ガードらしからぬダイナミックなプレーで試合を盛り上げる若武者だ。

どれだけバスケを愛するか、どれだけ試合に出たいか

高校でバスケを頑張った結果、岩手の大学から特待生として呼んでいただきました。富士大学は選抜に入っていた選手やインターハイに出場していた選手がザラにいるので、そんな環境で自分がやれることにすごく興奮しました。全国のレベルからすればまだ低いのかもしれませんが、僕からしたら一気にレベルが高くなったので。

怖いとは思いませんでした。むしろ「また倒す人が増えたぞ」とワクワクしていました。試合に出るには倒さなければならない相手なので、怖がっている場合じゃないですよね。入った時点ではチームの中で僕が一番下で、部員のほとんどを倒さないといけないわけですから。でも、先輩にも恵まれて、そういう意味では僕は運が良かったと思っています。

どうやったらバスケが上達するのか……説明が難しいですが、どれだけバスケを愛するか、どれだけ試合に出たいか、じゃないですかね。もちろん、夢は持たないといけないです。小さな夢でもいいので、まずは夢を持つこと。それを一つずつクリアしていく。少なくとも僕はそうでした。目の前の夢をクリアし、敵を倒していくんです。そうすると、夢はどんどん大きくなります。

体を鍛えるのも重要です。生まれ持った素質は人それぞれ間違いなくあると思いますが、鍛え方をアドバイスしてくれる人の言葉を信じて、しっかりやること。間違った方法でやると体を壊すことにもなりかねないので、無理をせず、かつ素直に取り組むことが大事だと思います。僕の高校時代はそういう環境でもなかったので、本格的に鍛えていたわけではありませんが、腕立て、腹筋、背筋をベースとするトレーニングは一生懸命やっていました。

富士大学時代の田口。レベルは上がったが「また倒す人が増えたぞ」とワクワクしてバスケに取り組んでいた。

目の前のことから逃げず、一生懸命に頑張ってください

一生懸命バスケに取り組んでいましたが、楽しいこともたくさんありました。バスケ部の仲間と練習後とか夏休みに水遊びとかプールに行ったのは良い思い出です。バスケの仲間との交流はすごく良い思い出として残っています。バカなこともいっぱいやりましたけど(笑)。みんな今でも仲良くしていて、会うと良いリフレッシュになります。これからも仲間たちのことは大切にしていきたいです。

自分はこうしてプロになって、日本代表候補までになりました。ここに来るまで近道なんて一切なかったです。やっぱり、目の前の困難や難しいことから逃げずに、やり切った結果が今につながっているんだと思います。

今バスケを頑張っている人に伝えたいのは、近道しようなんて思わないこと。遠回りしてもいいので、目の前のことから逃げずに一生懸命頑張ってください。頑張れば必ず夢がかなうとは言わないですけど、間違いなく何かしらは無駄にならず、自分のためになります。

26歳の田口はまだまだ発展途上のプレーヤーで、今もなお「近道しようなんて思わず」成長の努力を続けている。

バスケット・グラフィティ/田口成浩
vol.1「憧れの選手は……巨人の仁志敏久選手!」
vol.2「結果を出して相手を黙らせてきた」
vol.3「ここに来るまで近道なんて一切なかった」