文・写真=鈴木栄一

節目の5000得点は「もうちょっとカッコ良く決めたかった」

12月25日、栃木ブレックスの竹内公輔は横浜ビー・コルセアーズ戦の第2クォーターにキャリア通算5000得点目をマークした。試合全体では10得点を挙げて、2016年最後のホームゲームの勝利に貢献している。

「もうちょっとカッコ良く決めたかったです。田臥さんやナベ(渡邉裕規)からパスをもらってのシュートを決められたらと思いましたが、こぼれ球を押し込んだ感じになりましたね」

このように節目の得点を挙げた場面を本人は振り返るが、ゴール下での競り合いで強さを発揮してのシュートは、まさに竹内の持ち味が発揮された『らしい』得点であった。

大学時代から日本代表で活躍してきた竹内は、2007-08シーズンのアイシン入団から始まったトップリーグのキャリアにおいて、新人時代から常に主力の一員としてプレーを続けてきた。広島ドラゴンフライズ時代の2014-15シーズンには、プレーオフで右アキレス腱断裂の大ケガを負ったが、それでも翌シーズンはほとんどの試合に出場している。日本バスケ界随一のビッグマンである類い稀な実力とともに、故障による長期離脱がないタフさも、トップリーグ10年目のシーズン前半で5000得点を達成した大きな要因だ。

「記録について多少は意識していました。ホームで達成し、皆さんにおめでとうと言ってもらえたのはうれしいです。同期で引退する選手が増えて行く中で、こうして数字を残せたのは良かったです」と語る竹内だが、一方で今回の記録はあくまで通過点の一つととらえている。

「まだまだプレーするつもりなので6000得点、7000得点を目指していきます。北海道の折茂(武彦)さんが9000点を記録していますが、そこまでいくのは難しい。あと15年もプレーするのは考えられないです。ただ、昔は試合数が少なく、僕がルーキーの時も35試合でしたが、今は試合数が増えており、そういう面では簡単になったと思います」

栃木では「短い時間でいかに自分を出していくのか」を模索

ここまでの竹内は、ほとんどのシーズンで1試合30分以上にわたってコートに立ってきた。だが、栃木にはライアン・ロシター、ジェフ・ギブスとリーグを代表する外国籍ビッグマンが2人おり、外国籍オン・ザ・コート「2」のクォーターになると、プレー時間が少なくなる。また、外国籍2人と竹内が揃ってコートに立つ『ビッグラインアップ』も戦術オプションもあるが、この布陣で鍵となるスモールフォワードの適性に優れたトミー・ブレントンが現在ケガで出場時間を制限せざるを得ないこともあって、今はあまり使われていない。結果として今シーズン、25日の試合終了時点で1試合平均24分の出場にとどまっている。

「今までは長い間プレーし、どこかで自分を出すというスタイルでした。それだけに短い時間でいかに自分を出していくのか、まだうまくできていないと感じています。ただ、優勝するためには、時に黒子役にならないといけないです。これからベストなさじ加減を見つけたいと思います」

このように今はまだ栃木での新たな起用法に適応している段階だが、栃木での役割について、ゴール下でのリバウンド争いに加え、攻撃面での狙いを次のように語る。「周りの選手が作ってくれたズレをうまく使って、ノーマークとなってシュートを決めることが求められます。まだ、パフォーマンスには納得していないので、もっと得点を増やしていく。そして、躊躇せずにもっとしっかりシュートを打っていきたいです」

ちなみに栃木のホームであるブレックスアリーナは、竹内にとって前述のアキレス腱断裂を負った会場でもあるが、「キャリアで節目の得点を達成できましたし、これからどんどん良い思い出を作っていきたい」と、今はポシティブな印象しかない。

そしてケガをした当時を振り返り、「ベストな状態に戻れるのか不安はありましたが、あれから一度もケガをしていません。その前まではちょくちょく捻挫などで休んでいました」と語るように、アキレス腱断裂を乗り越えたことで、より故障に強くなっているイメージすらある。

洛南高校でウインターカップ、慶應大学でインカレを制覇、そしてアイシン、トヨタ自動車でもそれぞれリーグ優勝を達成している竹内は、バスケ界屈指のタイトルホルダーだ。栃木で初代Bリーグ王者となるためには、勝つために何が必要か熟知している彼の存在が、シーズン終盤になればなるほどより重要となってくる。