馬場雄大

文=丸山素行 写真=野口岳彦

「僕がチームの流れを悪くしてしまった」

アルバルク東京は昨日行われた千葉ジェッツとの第2戦に敗れた。今節は1勝1敗、どちらの試合も5点差以内というスコアが実力伯仲であることを示していた。昨日の試合、A東京は第2クォーターに最大18点のビハインドを背負ったが、そこから徐々に点差を縮めていった。最終クォーターでは何度も3点差まで詰め寄ったが、そこから先が遠く、71-76で惜敗した。

11得点4アシスト4スティールと及第点以上の結果を残した馬場雄大だったが、「個人的に最近では最悪な内容」と試合を振り返った。

「(田中)大貴さんがいない中で決めきれるところを決めきれなかったですし、そのことによって、僕がチームの流れを悪くしてしまったところもありました。勝てる試合でもあったので、そこを逃してしまったのは僕のシュートミスからだったと思います」

接戦であればあるほど、一つのミスが試合の明暗を分ける。それが終盤の拮抗したシーンでのプレーであればなおさらだ。最終クォーター残り4分、7点を追う場面でコートに戻った馬場は、アレックス・カークへのアリウープパスをミスしてポゼッションを明け渡した。「交代直後のプレーというのもあったんですけど、アレックスに対してのアリウープパスは、自分がゲームメークする自覚を持ってやることができたら、ああいうミスにはつながらなかったと思います」

そして、最終クォーター残り2分33秒の場面では、馬場は西村文男からファウルを誘発し2本のフリースローを得るも、2本とも決めきれなかった。「2本決めれば、4点差から2点差になるところで、フリースローを2本とも落としてしまいました」と馬場はこれら2つのミスを悔いた。その時のスコアは64-68、リードを許して以降最も近づいた場面だった。結果的に最も近づいたのが3点差。それ以上近寄ることができなかったことを考えると、痛恨のミスだった。

馬場雄大

『走るモード』と『見るモード』の見極めができず

ネガティブな面ばかりを強調するが、前述の通り2桁得点を挙げ、速攻から反撃の流れを作ったのは紛れもなく馬場だった。それでも自らを責めるのは、第1戦のように的確な状況判断ができず、勝利に直結するプレーができなかったからだ。

「どうゲームメークをしていくかということを考えていて、今日はファストブレイクに頼りすぎてしまった。自分の中で『走るモード』と『見るモード』があって、それがファストブレイクに偏ってしまって浮足立ったところもありました。昨日はその見極めができていたので、そこは反省点です」

『モード』の違いは第三者からは見分けがつかないが、その判断を誤ったことで、自身のパフォーマンスにも大きく影響があったという。

「走るところは走り、ディフェンスがいる時は次のオフェンスに備えようということを考えているんですけど、無駄走りが多かったです。それで最後の40分まで体力が持たなかったですし、苦しい時間帯が続きました。40分間戦うという意識、考えができていなかったです」

強豪の千葉を相手に、エースの田中がいない状況で1勝1敗という結果は、あらためてA東京のチーム力の高さを示した。馬場も「大貴さんがいなくても戦える」と自信を手にしている。

A東京に入団した当初は、田中の背中を追いかけ、「大貴さんのようになりたい」という発言が多かった。しかし、新人王を獲得し、日本代表でも不動の立ち位置を確立した現在の馬場は、馬場というオリジナリティを追求するところまで成長した。

「大貴さんは大貴さんのバスケもありますし、僕には僕のバスケがあります。大貴さんがいたら2つのリズムのバスケを展開できるとも思っています。チームの他のメンバーも雄大がどういうことをするというのを分かってくれていると思うのでアジャストできますし、僕のバスケをしていきたい」

エースの不在は馬場の責任感とプライドを高めた。そしてこれからも、自分に妥協しない馬場は成長し続け、己のバスケ道を究めていく。