富樫勇樹

プレーの強度で圧倒し、前半で31点の大量リードを奪う完勝

4月30日、千葉ジェッツがアルバルク東京と対戦。プレー強度で大きく上回った千葉Jは立ち上がりからA東京を圧倒し、94-66で圧勝した。

試合の出だしは互いに堅守を見せて均衡状態となったが、第1クォーター中盤にかけて、千葉Jは西村文男の3ポイントシュート、クリストファー・スミスのドライブなどベンチメンバーの得点力で上回り18-13と抜け出しにかかる。ここでA東京はタイムアウトを取って流れを切ろうとするが、千葉Jの勢いは止まらない。終盤にかけてスミス、ヴィック・ローの連続得点でリードを2桁に広げた。

第2クォーターに入ると、千葉Jはプレーの強度で完全にA東京を圧倒する。激しいディフェンスでターンオーバーを何度も誘発するなど、満足にシュートすら打たせない。結果として、このクォーターでA東京のフィールドゴールをわずか8本の試投数で2本成功のみに封じた。オフェンスでは得意とするトランジションに持ち込むと、ボールもよく動く質の高いチームオフェンスで効果的に得点。26-6とビッグクォーターを作り出し、前半を終えて52-21と大きく突き放した。

後半、大量リードの中でも千葉Jは攻守ともに集中力を切らさない。攻撃の起点となるジャスティン・コブスが第2クォーター途中に足を少し引きずりながら退き、後半は出場なしに終わるアクシデントもあったA東京に付け入る隙を全く与えず。盤石の試合運びで逃げ切った。

千葉Jのジョン・パトリックヘッドコーチは、リーグ上位対決での圧勝に次のように選手たちを称える。「昨日よりもディフェンスの集中力が最初からありました。特に前半は相手のオフェンスリバウンドを3つに抑えたのが良かったです。オフェンスではボールがよく動いて、ミスマッチをうまく突けました。最後に若い選手が入ってもディフェンスの圧力が続いていたのは良かったと思います」

攻守ともに文句なしの内容だった千葉J、大黒柱の富樫勇樹は大量リードもあり、17分18秒のプレータイムに留まる中で13得点と貫禄のプレーだった。「素晴らしい試合でした。オフェンス、ディフェンスともにチームとして40分間、集中してできたと思います」

こう試合を振り返った富樫は、あと2試合を残し52勝(6敗)と、多くの故障者を抱えながらも自分たちが2018-19シーズンに樹立したシーズン最多勝利のリーグ記録に並んだ歩みをこう語る。「シーズン序盤は、新しいヘッドコーチの下で、試合前、試合中も含めてなかなかうまくいかない時も多かったです。それが連勝を重ねていった辺りからチームとしての調子は良く、お互いの長所を引き出しながらできています。今日はそれが出た素晴らしい試合でした。これくらいのパフォーマンスをチャンピオンシップで出せれば、優勝できると思います」

富樫勇樹

「ジェッツは監督交代があっても勝ち続けないといけないチーム」

昨シーズンの千葉Jは、東地区1位の第2シードでレギュラーシーズンを終えたが、チャンピオンシップ初戦でワイルドカードの宇都宮ブレックスに連敗を喫した。1年前と今では、富樫の感じている手応えに大きな違いがあるという。「去年、東地区1位で通過はしましたが、正直、ワイルドカードで戦った宇都宮との差はほぼなかった。そういう意味で今年はかなり自信があります。前回、最高勝率を記録したシーズンと同じくらいの手応えはあると思います」

また、1年前と今の千葉Jには大きな違いがある。富樫を中心とした主力メンバーはヴィック・ロー以外は変わらないが、一方で昨シーズン終了後にBリーグ初年度から6年間率いていた大野篤史ヘッドコーチが退任すると、コーチングスタッフも揃ってチームを去った。パトリックヘッドコーチによる新体制でも引き続き勝てるのか。こういった周囲の不安や心配を払拭させることは、富樫にとって一つの大きなモチベーションになっていたと明かす。

「ヘッドコーチが変わったからどうこうと言うのは、正直関係ないです。ただ、ジェッツはずっと勝ち続けてきたチームで、監督交代があっても勝ち続けないといけない。それができるチームだと思っています。この部分に関しては新しいチャレンジとして、プレーシーズンからモチベーション高くできています」

昨日、ワールドカップの抽選会が行われ、日本代表がグループリーグで戦う相手はオーストラリア、ドイツ、フィンランドに決まった。「タフなグループであることは確かですが、決まってしまった以上、それに向けて準備するしかないです」と語る富樫だが、今は千葉Jでの王座奪還のことしか考えていない。「Bリーグでしっかり優勝した後で代表活動に行きたい。そのことに集中していきたいです。」

そして昨シーズンの二の舞にならないために、このように意気込む。「去年、レギュラーシーズンとチャンピオンシップで雰囲気が変わらなかったと個人的には思っています。そこにも気をつけてチームとして最高の準備をして臨めればと思っています」

レギュラーシーズン最終節、千葉Jはアウェーで宇都宮と対戦する。昨シーズンのチャンピオンシップで敗れた因縁の相手を下し、シーズン最多勝利のリーグ記録も更新して、レギュラーシーズンを終えたいところだ。

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