ディフェンスからリズムをつかみ、オフェンス爆発と川崎らしいバスケで快勝

3月18日、川崎ブレイブサンダースはホームで群馬クレインサンダーズと対戦。強度の高いディフェンスでリズムをつかむと、攻守の素早い切り替えによってオープンシュートの機会を数多く作り出し93-73と圧勝している。

立ち上がりから川崎は激しいプレッシャーディフェンスで、群馬のボールムーブを停滞させ、1対1からの単発のタフショットを打たせることに成功。そしてディフェンスリバウンドをしっかり取り切ると、群馬とは対照的にテンポの良いパス回しからノーマークを作り出し第1クォーターで19-8と先手を取る。

第2クォーターに入ると、川崎のオフェンスが爆発する。群馬の守備の戻りが遅れた隙を逃さず、シュートを決められても素早いボールプッシュからイージーシュートを確実に決める。アグレッシブに攻め続けたこのクォーターは、フィールドゴール17本中12本成功で30得点を挙げ、16点リードでハーフタイムを迎える。

後半になっても川崎の勢いは止まらない。持ち味である5人が連動するチームオフェンスでズレを作りだすと、このクォーターだけで11得点を挙げたジョーダン・ヒースを筆頭に得点を量産。30-21のビッグクォーターを作り出して、第4クォーター開始前に勝負を決めた。

この試合、川崎は5人が2桁得点を挙げ、フィールドゴール成功率50%以上と高確率でシュートを沈めた。この理想的なオフェンスができたのも堅守があってこそと佐藤賢次ヘッドコーチは語っている。「今日は相手のトランジションオフェンスと、1対1をしっかり守ろうとディフェンスから集中して入りました。足もしっかり動いて良いディフェンスができて、選手たちはゲームプランを遂行してくれました」

第3クォーター終了時点で25点の大量リードが示すように川崎の完勝だったが、第2クォーター序盤に連続得点を許し、群馬に主導権を与えかける危うい時間帯もあった。ここで嫌な流れを断ち切る立役者となったのが、熊谷尚也だ。6点差まで追い上げられた直後、力強いドライブからバスケット・カウントを奪うと、その後には3ポイントシュートも決めるなど、第2クォーターは5分36秒のプレータイムで8得点をマークする見事な活躍だった。

熊谷尚也

横浜BC戦の敗北「ここから成長して強くなっていけるきっかけをいだだきました」

川崎の主導権確保に大きく貢献した熊谷は、このように試合を総括する。「始めから川崎らしいバスケットができて、ディフェンスの強度も高く、オフェンスに良いリズムで繋げることができました。第4クォーターにウチの悪いところが出てしまいましたが、その他の30分間は良い内容だったと思います」

そして、自身のパフォーマンスについてはこう振り返る。「オープンシュートをしっかり打ち切るのは、このチームで全員が求められているので、打ち切れたのは良かったです。また、アウトサイドだけでなくペイントアタックをするのも自分の仕事なので、そこを表現できたのは良かったと思います」

川崎は先日の水曜ゲームで横浜ビー・コルセアーズとの中地区首位決戦に敗れ、地区2位に順位が落ちたが、この試合前に横浜BCが敗れたことで同率ではあるが首位に返り咲いた。現状、レギュラーシーズンの最後まで横浜BCとの激しい順位争いは続いていくことが予想される。その中で選手たちは目先の順位に一喜一憂せずに戦うことを意識しているが、それでも否応なしに周りの声は耳に入ってくるもの。特に今の川崎は、ここ数年で最も勝率が悪いだけにネガティブな意見も少なくないだろう。

自分たちを取り巻く環境について、熊谷は語る。「周りからいろいろな声は実際に入ってきます。水曜日のゲームのように順位が変わったりするのは、メンタル的にはしんどいですし、終盤にさしかかる大事な時期にこういうことが起こるのはタフな状況です」

だが、同時にこの苦境を乗り越えられる自信を持っている。「そこは夏からチームでファミリーとしてやってきたことが自信になっています。悪いところは直しながら、やってきたことを信じていこうと前向きです。みんなで支え合いながらやれていると感じています」

川崎にとって水曜日の敗戦は、メンタル的にもダメージを負うものだった。しかし、佐藤ヘッドコーチは、得られたものも大きかったと振り返る。「今、やろうとしているのはバイウィークに取り組んだことをどれだけしっかり出せるのか。それを横浜さんにぶつけた結果、ここから成長してどんどん強くなっていけるきっかけをいだだきました。あの試合はチャンピオンシップのような激しさがあり、その中でできたこと、できなかったことを整理できたのは一つの大きなきっかけになります。ネガティブな感じではなく、前に進んでいると思っています」

レギュラーシーズンも残り20試合を切り、疲労が溜まっていく中で水曜ゲームも入るタフな日程をこなす必要がある。そこでより問われるのはチームの総合力だ。中でも、「得点源のニック(ファジーカス)、マット(ジャニング)がいない時間帯にどうチームとしてやっていくのか」と熊谷が語るように、セカンドユニットの得点力は川崎の改善すべき課題の一つだ。

解決策として、そして、熊谷には積極的にオフェンスに絡むことが求められる。本人もそこを意識している。「自分にはアウトサイドシュートを打ち切ること、ペイントをアタックすること。ディフェンスで長谷川(技)さんが出ていない時間帯で、強度を上げるところが求められています。そこはバイウィークの練習で積み上げられています」

川崎が横浜BCとの激しい地区優勝争いを勝ち抜くためには、この試合のように熊谷が攻守でアグレッシブなプレーを見せていくことも大事な要素となっていく。

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