「ケガを乗り越え、大好きなことを続けられている選手」
昨シーズン開幕からトレードデッドラインの2月までだったが、ドウェイン・ウェイドはキャバリアーズでデリック・ローズとチームメートだった。短期間だったが、ローズが試合に向けて日々行う準備を間近で見続けた。
ウェイドには、バスケットボール選手として将来が有望視される長男ザイールがいる。まだ16歳ながら早くもNCAAディビジョン1の大学から奨学金がオファーされているという報道もあるほどの選手で、数年後のNBAドラフトにエントリーする可能性もある。ウェイドは、ザイールを含め、子供たちにはローズから学んでもらいたいと話している。
「息子には、こう言っているんだ。『1日か2日、デリック・ローズと時間を過ごして、試合に向けて心と身体をどうやって準備しているか見てこい』とね」と、リポーターに語ったウェイドは、次のように続けた。
「素晴らしい身体能力を備えてプロでプレーするようになって、彼が経験したようなことを乗り越えて、今も大好きなことを続けられている選手を見るのは、子供たちにとって良いと思う。昔とはプレーが異なるけれど、それでも非常に優れている。今のデリックは、とても楽しそうだしね」
ウェイドのコメントにあるように、ローズは紆余曲折を経て完全復活を遂げた。2008年のドラフト全体1位で地元シカゴに本拠地を置くブルズから指名され、2011年にはNBA史上最年少(22歳と6ヶ月)でシーズンMVPを受賞する順風満帆のキャリアを送っていたが、2012年のプ
レーオフで左ひざ前十字靭帯を断裂する重傷を負ってからは、ケガとの闘いだった。
心が折れかけたこともあっただろう。それでも諦めずに努力し続けた結果、10月31日のジャズ戦では、キャリアハイとなる50得点を記録。その試合後ローズは人目を憚らずコート上で涙し、NBA選手、ファン、メディアが彼の復活劇を称賛した。
ローズは、今シーズン平均18.3得点、3.0リバウンド、4.3アシスト、フィールドゴール成功率50%、3ポイントシュート成功率47.5%というスタッツを残し、所属するティンバーウルブズも激戦区の西カンファレンスで上位争いに絡める位置につけている。また、ローズ個人も、シックスマン賞候補として注目され、本人も「受賞したい」と、意欲的だ。
ウェイドが言うように、年齢やケガを経てプレースタイルを変化させ、しかもトップレベルで現役を続けられているローズは、子供たちが鑑にすべき選手の一人に違いない。