4月頭に復帰しても、レギュラーシーズンの残り試合は5試合のみ
ケビン・デュラントが現地3月8日のサンダー戦の試合前のウォーミングアップ中に足を滑らせ、足首を捻挫して新天地でのホームデビュー戦となるはずだった試合を欠場したのは既報の通り。デュラントは自分で歩いてロッカールームに戻ったために軽傷で済むとの見込みもあったが、『2週間後に再検査』と診断された。
『The Athletic』は、試合当日の足首の腫れは引いているものの、復帰はリハビリの進捗次第で、おそらく3週間の戦線離脱となると報じている。
だが、4月頭からの復帰では、レギュラーシーズンの残り試合は5試合のみ。サンズはデュラント抜きでも西カンファレンス4位をキープできるかもしれないが、ケミストリー構築は決定的に遅れることになる。
デュラントはサンズ加入後の3試合ですぐに新しいチームメートに馴染み、26.7得点、7.3リバウンド、3.7アシストと『らしさ』を発揮している。デュラントは今のNBAでも屈指のスーパースターであり、そのプルアップジャンパーはチームメートとの連携がなくても大きな武器となる。また彼はケガには弱いが、長期欠場後でもすぐに自分のリズムをつかむことができ、ネッツからサンズへの移籍を経る間も膝のケガで7週間の戦線離脱があったにもかかわらず、復帰初戦で、しかも新しいチームで3試合連続で素晴らしいパフォーマンスを見せている。
それでも、やはりここからの3週間でプレーできない痛手は大きい。即興でのプレーでも機能することとは別に、サンズの攻守のメカニズムにデュラントの個人技をどう組み込むかが、プレーオフで勝ち進むのに重要でないはずはないからだ。
スター選手の日々移り変わるコンディションに配慮しながら即興でのプレーに頼るスタイルで勝てないのは、前体制のネッツが数年がかりで証明している。むしろ、チームのスタイルを優先しながら個々の能力を引き出すサンズのスタイルこそが、プレーオフで勝つためのやり方だ。
デビン・ブッカー、クリス・ポール、ディアンドレ・エイトンにデュラントが加わって『豪華カルテット』が結成されたとは言え、スターパワーを前面に押し出して戦うつもりはサンズにはない。ただ、アクシデントで連携を高める時間的余裕を失った今、デュラントの得点力を生かすために、個人技のバスケにある程度シフトすることを余儀なくされる可能性がある。
クリス・ポールの経験とブッカーの順応性があれば、サンズは即興でも組織的なスタイルでプレーできるかもしれない。ただ、プレーオフで対戦する相手からすれば隙が生まれることになる。プレーオフ以前にこの3週間をどう乗り切るかも含め、サンズは非常に難しい立場に突如として追い込まれてしまった。