スタッツは物足りずも「出そうと思っていたところは出せた」
バスケットボール男子日本代表は先日行われたバーレーン戦に95-72で勝利し、ワールドカップアジア地区予選を7勝5敗で終えた。
開催国枠での本戦出場をすでに決めている日本にとって、バーレーン戦はトライアウトの意味合いが強かった。そして、Window6のイラン戦で唯一人プレータイムが10分未満に終わり、「もっとアピールしないと、ワールドカップ(のメンバー入り)は危ない」と語った比江島慎にとっては、再び自身の存在感を示す場となった。
結果は11分37秒の出場でフィールドゴール3本中1本成功の3得点1リバウンド1アシストと、数字だけを見れば物足りない印象を受ける内容に終わったが、比江島本人は「満足はできないですけど、出そうと思っていたところは出せた」と、及第点を与えた。「もちろん、3ポイントシュートは決めたかったです。でも、3ポイントシュートばかりにならず、ドライブでチームにリズムを与えられたところに関してはやれたと思っています」
3ポイントシュートを多投するトム・ホーバスのスタイルにおいて最も避けなければいけないことは、ボールが止まり3ポイントシュート一辺倒になることだ。比江島はコーナーステイをしながらも、ボールを受けた際にはドライブの意識を高めて積極的にアタックしていた。比江島がアタックすることで内外のバランスは取れ、相手が過度に比江島を警戒した結果、渡邉飛勇のアリウープが生まれた。
短時間で結果を出すことは簡単なことではなく、特に多くのプレー時間を与えられていた選手にとってはさらに難しさが増す。それでも比江島は「自信はあるので。切り替えてやるだけで、特別なことはありません」と、少ない時間の中でのプレーを苦にしないという。
キャプテンの富樫勇樹が「最初の中国戦の2試合を今でもかなり覚えています」と語ったように、日本はWindow1の中国との連戦に大敗した。ホーバス体制の船出は順風満帆ではなかったが、合宿を重ねシステムの理解を深めていったことで、最終的にグループリーグ3位にまで浮上した。2021年11月から始まったワールドカップアジア地区予選を比江島はこのように振り返る。
「システムが分からないままスタートしたんですけど、1年半で皆さんが明らかに分かるような成長ができたと思っています。自分自身、スタイルを変えながら適応もできたし、できる限りのことを全部やってチームとしてまとまってやれました。短く感じましたが、しっかり成長を感じられた1年半でした」
代表メンバーはそれぞれのチームに戻り、レギュラーシーズン終盤戦を戦っていく。比江島が所属する宇都宮ブレックスはリーグ再開の前に、東アジアスーパーリーグ(EASL)での戦いが待ち受けている。代表メンバーにとってはタフな状況が続くが「身体がキツイとか言っていられる状況じゃないですし、EASLも頑張りたいです。ワールドカップに向けて日々成長しなきゃいけませんし、狙えるタイトルは狙っていきます」と比江島は言う。
ワールドカップ本戦まで半年を切った。すべての戦いはワールドカップ本戦に繋がっているとの意識を常に持つ、比江島の本当の戦いはこれからも続いていく。