ネイト・マクミラン

エースのヤングとの不協和音、29勝30敗と負け越し

オールスターブレイクの最中に、ホークスはヘッドコーチのネイト・マクミランを解任した。当面はアシスタントコーチのジョー・プランティが暫定ヘッドコーチとして指揮を執る。

シアトル・スーパーソニックスで現役時代を過ごしたマクミランは、引退後そのままソニックスで指導者に転身し、36歳でヘッドコーチに昇格した。その後、トレイルブレイザーズとペイサーズで実績を積んでいる。2020-21シーズン途中、14勝20敗の時点でロイド・ピアースを解任したホークスで、マクミランは暫定ヘッドコーチとなり、いきなりの8連勝でチームを立て直し、41勝31敗の東カンファレンス5位でプレーオフへ出場。東の1位だったセブンティシクサーズをカンファレンスセミファイナルで破り、カンファレンスファイナルまで勝ち進んだ。

それまでトレイ・ヤングにすべてを託していたホークスは、マクミランの下でバランスを取るようになった。ヤングは『一歩引く』プレーを覚え、シュート試投数と得点が減った代わりにアシストが増えている。

ただ、ヤングとの関係は険悪とまでは言わないまでも冷えたものだったのかもしれない。昨シーズンは43勝39敗でプレーオフではファーストラウンド敗退、今シーズンはここまで29勝30敗と負け越している。昨年12月にはマクミランとヤングの関係の悪さが外部にも漏れ出た。ナゲッツとのホームゲームがあった日、右肩の痛みを理由にシュートアラウンドに参加しなかったヤングは、マクミランから「出場しないならアリーナに来なくていい」と言われると、そのまま自宅に帰ってしまった。

ホークスは昨年オフにスパーズからデジョンテ・マレーを獲得したが、ヤングとのコンビは思うように機能していない。創造性溢れるヤングと堅実なマレーはタイプこそ違えどハンドラーとして得点とプレーメークという役割は同じ。『さらに一歩引く』ことをヤングは嫌がったのかもしれない。

本来であればマレーの獲得でヤングは弱点である守備の難をカバーされ、持ち前のオフェンス力を存分に発揮できるはずだった。2人のエースを軸に、ルーキーのAJ・グリフィンを始めとする若手が伸びることでチームに新しい勢いが生まれるはずだったが、想定通りに事は運んでいない。いずれにしてもチームの成績は年々下がっており、エースであるヤングの成長も24歳にして頭打ちになっているのが現状で、何らかの変化が必要だった。

2年前のシーズン途中の指揮官交代はカンフル剤として最高の効果を発揮した。その再現はあるのだろうか?