ジェイソン・テイタム

「精神的にも身体的にも休養して、またみんなで同じゴールを目指す」

第3クォーター終了時点で勝っているチームの得点に24を足し、その目標スコアに先に到達したチームを勝者とする『イラムエンディング』は、2020年に導入されてNBAオールスターを『本気の戦い』に変えたが、その効果は期間限定だった。ヤニス・アデトクンボが手首を痛めていたために20秒のみの出場となり、レブロン・ジェームズもブロックを試みた際に指をリムにぶつけて「大したことはないけど大事を取った」と後半を欠場と、両チームのキャプテンが目立たなかった影響もあるのかもしれないが、今回のオールスターはインテンシティを欠き、お祭り的な要素の強いものになった。

それでも試合序盤からスーパープレーの連発だったのは間違いない。ニコラ・ヨキッチからジェイレン・ブラウンのアリウープが飛び出すと、ジェイソン・テイタムからラウリ・マルカネンのアリウープでお返し。さらにその上を行ったのはレブロンで、ボードを使った一人アリウープで観客の度肝を抜いたのだが、その直後にテイタムが全く同じプレーをやり返した。前日に盛り上がったダンクコンテストに負けじとばかり、ジャ・モラント、アンソニー・エドワーズが難易度の高いダンクを成功させる。シューターも負けてはおらず、ドノバン・ミッチェルがディープスリーを決めれば、リラードがハーフコートショットを沈めた。

チーム・ヤニスが184-175で勝利した今年のオールスターでMVPを獲得したのは、フィールドゴール31本中22本成功、3ポイントシュート10本成功でオールスター記録を塗り替える55得点、さらには10リバウンド6アシストを記録したテイタムだった。試合後の彼は「自分のシグネチャーシューズを履いてプレーする初めての日だったから、良いプレーをしたいと思っていた。でも55得点も取るとは予想していなかったよ」と話す。

オールスターMVPに与えられるのは『コービー・ブライアント・トロフィー』で、コービーにあこがれて育ったテイタムは「このトロフィーをもらうのは本当に意味のあることなんだ」と話す。「僕にとって初めてのオールスターは2020年で、彼の名前がMVPに冠された時だった。その時、キャリアのうち一度は手に入れると誓ったんだ。このトロフィーを持てるのは光栄だ。だから今日は特別な日なんだ」

そのテイタムのプレーで一番盛り上がったのは第3クォーター終盤、普段はセルティックスでチームメートのブラウンと敵味方に分かれ、アイソレーションでマッチアップを繰り広げた時だ。笑顔ではあっても真剣勝負の雰囲気があり、観客が最もコートに集中した時間帯だった。

テイタムは言う。「もう6年間も一緒のチームにいて、1対1やスクリメージでのマッチアップは数えきれないほどやっている。いつもお互いにベストを尽くすのは、僕らにとっては当たり前のこと。でも今日は何百万人もの人が見ている舞台だったから、楽しかったな」

ただ、MVPは彼の最終的なゴールではない。「55試合を戦って、ベストと言うべきタイミングでオールスターブレイクになった。精神的にも身体的にも休養して、またみんなで同じゴールを目指す。目指すのは優勝だけ。MVPとかオールNBAとかは関係なく、僕たちはとにかく優勝したいんだ」

こうしてNBAオールスターは終了した。ここから5日間のブレイクを経て、レギュラーシーズン後半戦が再開となる。