ケビン・デュラント

デュラント獲得が実現すれば、サンズは優勝候補の大本命に

今シーズンのトレードデッドラインは、現地時間2月9日の15時に設定されている。一般的にはトレードデッドラインに向けた移籍の8割近くが、この期限から48時間以内に行われると言われている。それはビッグディールを待って、そこから玉突きのように次々と移籍が決まっていくからだ。

そういう意味では、カイリー・アービングのマーベリックス行きが均衡を破る一手となった。次に生み出されるのは、カイリー獲得の線が消えたレイカーズによるディアンジェロ・ラッセルの獲得だった。その次は──どうやらケビン・デュラントのサンズ行きだ。

『ESPN』のアドリアン・ウォジロナウスキ記者は、サンズとネッツがデュラントを含む大型トレードの交渉中だと報じた。サンズはデュラントとTJ・ウォーレンを獲得し、ネッツはミケル・ブリッジズとキャメロン・ジョンソン、ジェイ・クラウダー、2023年、2025年、2027年、2028年の1巡目指名権と、2028年の指名順位交換権を得る。

デュラントは現地1月8日に右膝を痛めて欠場中。NBAオールスターに出場しないことが発表されたばかりだが、もともと全治1カ月の予定で、復帰はそう遠くない見込みだ。

デュラントはカイリーと個人的に仲が良く、2人は示し合わせて2019年にネッツにやって来た。ここにジェームズ・ハーデンも加わり、『ビッグ3』の力でNBA優勝を目指したが、3人のうち少なくとも1人は常にケガをしている状況が続き、昨シーズン途中にハーデンがセブンティシクサーズへと移籍していった。その後、コート外のトラブルの多いカイリーとネッツ首脳陣の関係が悪化し、今回のトレードに至った。デュラントは公にコメントを出してはいないが、サンズとのトレード交渉が進展しているのが事実であれば、カイリーの移籍を機にデュラントもネッツにトレードを要求したのだろう。

デュラントのトレードが実現するのであれば、優勝を目指せる位置につけていたはずのネッツが、カイリーとの契約延長交渉の決裂からわずか数日で瓦解することになる。そしてサンズは大幅な戦力アップを実現する。

サンズはオーナー変更が正式に行われ、これまで滞っていたトレードが可能になったばかり。タイミングを図ったかのように、デュラント獲得のチャンスが巡ってきた。5年目のブリッジズは替えの効かない選手だが、相手がデュラントとなれば話は別だ。大ケガを乗り越えて本調子を取り戻しつつあるウォーレンも戦力として計算できる。

サンズは『バブル』のシーズンを機にドアマットチームから脱却し、優勝を狙える戦力を持っていたが、その壁をなかなか超えられずにいた。しかし、デュラント獲得が実現すれば、優勝候補の大本命に躍り出ることになる。