ライジングゼファーフクオカの『調律』を取る加納誠也「僕は刺身でいうツマです」

2018/11/28
Bリーグ&国内
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加納誠也

文=丸山素行 写真=古後登志夫、B.LEAGUE

「点を取る人にいかにスペースを与えるか」

今シーズンB1昇格を果たしたライジングゼファーフクオカは、開幕11連敗とB1の高い壁に阻まれた。だが11月3日の京都ハンナリーズ戦でB1初勝利を挙げると、その後は3勝4敗と単独最下位を脱出している。結果論ではあるが、開幕7連敗を受けて河合竜児ヘッドコーチが解任され、アソシエイトコーチのボブ・ナッシュが指揮を執るようになり勝ち星が付いてくるようになった。

うまく行っていないチームが向上するためには、何らかの変化が必要だ。その中で、新体制となってからスタートに定着しつつある加納誠也は、4番(パワーフォワード)から3番(スモールフォワード)へとポジションを変えた。「ヘッドコーチが代わって、3番で起用されています。3番の動きがまだ染みついていないので、ドリブルの練習やシュートを打つという意識を持ったり、見て学ぶようにしています」

198cm100kgという体格を持つ加納だけに「4番しかやったことがないです」というのはうなずける。それでも「城宝(匡史)さんや(小林)大祐さんといった得点を取る人はいるので、点を取る人にいかにスペースを与えるか、タイミングよくスクリーンをかけるかといった『4番のような3番』を意識しています」と加納は言う。

オフェンス力の高い選手を並べ、どこからでも得点が狙える陣容を作ることはもちろん大事だ。だがバスケットボールには、決められた役割や求められる役割を忠実にこなす『ロールプレーヤー』の存在も不可欠だ。「得点をたくさん取らなきゃという意識は特になく、点は取れる人が取ればいいんです」と、加納はここまで平均2.5得点2.3リバウンドと突出した数字は残していない。それでも「俺が俺が、という人はたくさんいるから、逆に僕がスターターなんです」と、チームのバランスを考えた上での起用だと理解している。

もともとの明るさもあり、「僕は刺身でいうツマです。影の女房役、裏のポイントガードみたいな意識でやっています(笑)」と、加納は現在の役割をポジティブに楽しんでいる。

加納誠也

ターンオーバーを減らすために「練習から呼吸を合わせて」

加納が3番をやることは、当然サイズの面でもプラスとなる。3勝目を挙げた横浜ビー・コルセアーズ戦では、それが顕著に表れた。横浜は帰化選手を擁し、実質『オン3』のビッグラインナップの時間帯があった。通常であればサイズのミスマッチを突かれるところだが、加納の存在がミスマッチをなくした。ずっと4番をやってきただけに、「外国籍選手もディフェンスできる3番というのを売りにしていきたいです」と得意気に話す。

チームが上向いた要因を尋ねると、加納はこう答えた。「1on1からの合わせやピック&ロールなど、攻めがよりシンプルになりました。やることが明確になって、シェア・ザ・ボールが増えたことです」

スクリーンをかけ、ボールを散らすなど、チームのバランスを考えロールプレーヤーに徹する加納だが、意図せず自らの存在が好調の理由とリンクしている点が面白い。

単独最下位を脱した福岡だが、依然苦しい状況なことに変わりはなく、さらなる積み上げが求められる。特にリーグワースト2位のターンオーバーの改善が必要と加納は言う。「ターンオーバーに良いものはないですが、せめてチャレンジした結果のターンオーバーにしたいです。プレッシャーを掛けられて、我慢できずにしてしまうターンオーバーが多い。それは練習から呼吸を合わせていかなければいけないです」

「あとはディフェンスの細かいコミュニケーションなど、栃木さんのようにできたら」とディフェンス面についても言及した。

8試合連続で先発出場していたが、直近2試合では先発を外れ、プレータイムも少なかった加納。だが「ムードメーカー」を自負する加納はそれにめげることなく、どんな状況下でもチームの勝利に貢献していく。