球団の売却先は決定と報じられるも、トレード期限までに手続きは終わらない見通し
今シーズンのトレード期限まで約1カ月と迫る中、サンズは開幕から移籍志願を表明し、チームに合流していないジェイ・クラウダーを絡めたトレードを行えていない。激しいディフェンスとリーダーシップに優れ、勝利の経験も豊富なベテランのクラウダーを欲しがるチームは多く、現在20勝19敗とプレーオフ出場の当落線上にいるサンズとしては、クラウダーを使ったトレードで早々に戦力補強を成功させたい。しかし、それが未だに実現しない背景には今のサンズが抱える特殊な球団事情も影響しているのかもしれない。
サンズは9月上旬にオーナーのロバート・サーバーが人種差別や性差別行為を理由にリーグから1年間の資格停止と1000万ドル(約13億円)の罰金処分を科せられた。そして、サンズを保有することへの批判の声が高まったことも影響したのか、先月中旬に名門ミシガン州立大の元選手である富豪のマット・イシビアへ40億ドル(約5200億円)での売却が決定したと複数のメディアが報じている。
だが、球団売却には様々な審査や手続きが必要でどんなに早くても60日以上は必要となっており、トレード期限の現地2月9日までにイシビアが正式にサンズのオーナーとして承認されることはない模様だ。そのため『ESPN』は、サム・ガービンがオーナー代理として球団運営を行っているものの、現在もオーナーであるサーバーがリーグの平均的な年俸以上の金額が絡むトレードの決定権を握っていると報じている。
その上で『ESPN』は現在の平均年俸は1080万ドル(約14億3200万円)で、クラウダーの年俸は1020万ドル(約13億5200万円)であるとし、クラウダー絡みのトレードにはサーバーの許可が必要と見ている。また、匿名の情報によるとサンズはここ数カ月の間、複数の選手に関係するトレードの交渉を行っているが、それらの是非を最後に判断するのはサーバーである可能性が高いと報じている。
トレードの決定権を持っている人物が、交渉に全く関与することができないのは異例であり、スピードが命の交渉において大きな障害となるのは間違いない。また、不本意な形で売却するサーバーが、どこまでサンズの強化に協力的な姿勢を取るのかは不透明だ。シーズン後半の巻き返しに向けて、構想外のクラウダーを使った戦力強化を図りたいサンズだが、トレード成立は今後もスムーズに行きそうにない。