第3クォーターを20-7として試合を振り出しに戻す
ウインターカップ4日目、女子準々決勝で岐阜女子と大阪薫英女学院の名門校同士が対戦し、接戦の末に3点差で岐阜女子が勝利してベスト4進出を決めた。
最終クォーターを迎えた時点で岐阜女子の1点リード(52-51)と拮抗していたが、第1クォーターは薫英が25-14と圧倒し、第3クォーターは岐阜女子が20-7とするなど、波のあるゲーム展開となった。
先に主導権を握ったのは薫英だった。試合の立ち上がりで186cmの岐阜女子の留学生プレーヤー、ジュフ・ハディジャトゥからファウルを誘発。試合開始20秒にもかかわらず、岐阜女子がハディジャトゥをベンチに下げたのを機に薫英がオールコートプレスを仕掛けて一気に畳み掛け、約4分間で13-2と圧倒した。その後、ハディジャトゥがコートに戻ってきてからも、インサイドではダブルチームを仕掛けて対応し、第2クォーターは一進一退の攻防となる中で薫英はリードを守り、44-32で前半を終えた。しかし、前半だけで15得点を挙げていた薫英のエース、都野七海が前半終了間際に個人3つ目のファウルを犯してしまう。
そして、後半になると岐阜女子の時間がやってくる。薫英は都野、岐阜女子は2年生の絈野夏海と両チームのエースが勢いあるペイントアタックで得点を取り合う中で、岐阜女子が高さのアドバンテージも生かして違いを生み出す。ハディジャトゥとのハイ&ローで得点を重ねていき、さらにセカンドチャンスから絈野が3ポイントシュートを決めて、後半の開始約5分間で岐阜女子が11-2のランを決めて、一気に3点差(43-46)まで詰めた。薫英もすかさずタイムアウトを要求したが、このタイムアウト明けに岐阜女子はディフェスのギアを一段階上げることで相手に流れを渡さない。そして、第3クォーター残り1分半には絈野のアタックで遂に逆転した。
岐阜女子が52-51として迎えた最終クォーターも一進一退の攻防が続いたが、絈野が試合を支配する。試合の序盤からオールコートディフェンスを行い、体力を消耗してきた薫英に対し、持ち前のスピードを生かしてどんどんボールをプッシュしていく。ディフェンスリバウンドからのコースト・トゥ・コーストやスイッチで生まれたスピードのミスマッチを突いたアタックからレイアップを決め切る。ディフェンスでも岐阜女子はプレッシャーをかけて薫英を外へ追いやり、ショットクロックギリギリでのディープスリーを打たせていった。そして、60-59で迎えた第4クォーター残り3分39秒、ここまで24得点4アシストを記録して薫英を引っ張っていた司令塔でエースの都野から個人5つ目のファウルを誘発。薫英は都野の他にも島袋椛と仲江穂果のインサイド陣もファウルトラブルに陥っていた。対して岐阜女子は試合序盤にハディジャトゥをベンチに下げていたファウルマネジメントの効果もあり勝負どころで主力をコートに残すことに成功し、69-66で勝利した。
2年生エースの絈野が28得点を記録してチームを牽引
この試合で2年生エースの絈野は40分フル出場で3ポイントシュート6本中3本成功を含むゲームハイの28得点を記録して勝利の立役者となった。特に拮抗した終盤での強気なプレーが印象的だった絈野は「自分がやるしかないと思って、強気で行くしかなかったです。攻めている時は考えていないですけど、自分が行こうっていうのは決めていました」とエースとしての覚悟を語った。
また、前半終了時点で2桁ビハインドを背負っていたが、絈野は「結構点差はついていましたけど、自分は全員に『まだやれる!』と声をかけましたし、あまり焦りはなかったです」と振り返った。「自分たちのやるべきことをやれば巻き返せる、そして自分と仲間を信じてやるしかないと思ったので、声をかけて全員で気持ちを上げていきながらやっていけたのが良かったです」
岐阜女子がセンターコートでプレーするのは、準優勝した2019年大会以来だ。明日の準決勝では札幌山の手と対戦する。絈野は「自分たちのディフェンスからブレイクの姿勢は必ずお見せできるように、自分たちのディフェンスをしっかり徹底して、そこから流れを作っていけたらと思います」と意気込んだ。